さみしい ページ22
携帯を握り締めて寝ていたみたいで、手元の画面には「さみしい」の四文字が。
そして送信済み
A「えっ? 送信済み? 相手……………」
送信先 川西賢志朗
襲ってくるのは後悔のみ。
いくらナーバスになっていたからとはいえ、人様にこんなメールを。
受信ボックスには新着メールが。
《夏に東京で単独ライブをやらしてもらうことになった。是非Aちゃんにも来てほしい。
前のりするし、その時に会おう!
チケット渡すから》
というもので、私のメールにはふれられていない。
だから私も素直に
《わぁ、おめでとうございます!!
和牛も着実に階段を上っていますね!!
せっかくなのですが、ファンとしてチケットは自分で買わせて頂きます》
さみしいというのにはふれず、返信した。
いくらチケットをくれるからと言って、おいそれと貰えるものではない。
好きな人から直接貰えるのだから嬉しいけど、ここはガチファンとしては譲れない。
などと考えていると返信はすぐに来て
《ありがとう!
じゃあ、手売りを買ってくれん?
そしたら直接渡せるから》
手売りかぁ…………
そういえば和牛のチケットを手売りでは買った事がないなぁ…………
《是非記念に手売りを。
初東京、初手売り、楽しみにしています》
私が手売りから買った漫才コンビって誰だっけ………
ボーッと思い返しながら、準備を始める。
これからゲームの発売イベント。
立ち上げから参加させて頂いていて曲もたくさん作られせて頂いた。
1つの作品にここまでたくさん作ったのは初めて。
だけど、これで終わりではなく、既に新作も決まっていてこの作品の曲作りがほぼ絞めている。
男の子のアイドルグループのプロデュースなんて初めてだから大変………
そういえば何日か前もシリーズのゲームの発売イベントだったなぁ。
一応女優なのに声優さんとの仕事が多い気も………
《またAちゃんの実家の居酒屋で会おうなぁ》
乙女心とは厄介なもので、どんなにナーバスになっていようとも、好きな人の一言でモチベーションがあがる。
その日を楽しみに、また仕事を頑張ろう。
そう思った朝。
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作者名:美音 | 作成日時:2019年2月28日 16時