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「あ、....れ?」




気づいたら、病院のベットの上にいた。
外は真っ暗。雨の音が聞こえる。

なんで?
確か俺、バイトに行って、それで.......、。




「気づいたか?」




声の主に、驚いた。




「え......っ、?!薮、くん......!?」




ベッドそばの丸椅子に座っていたのは、
あの日以来、顔を合わせていなかった薮くんだった。


なんで、ここに、......?
確かバイト中に俺、意識が遠くなって。。それで、


「倒れたのは過労と貧血だと。なぁ涼介、お前ちゃんと食べてんのか?」


緊急連絡先...、本当は兄ちゃんのを書かなきゃいけないところに、薮くんの番号を借りて書いてたんだった。兄ちゃん離れを、するために。

どうせ緊急な時なんかないって思ってたのに、


「ごめ...なさ...、」


迷惑をかけてしまった。
俺になんて会いたくないはずなのに。

きっと店長が電話して薮くんを呼んで、
呼ばれた薮くんは、話を合わせて兄だと偽ってここに来てくれたのだろう。

何て言おう。
......、ここは正直に、打ち明けるしかないか。
兄ちゃんには内緒にしてもらえるように、お願いしないと。


「薮くん...、あの、」


謝ろうと思って体を起こそうとしたのに、
それは薮くんの手によって阻まれた。


「やぶ、くん?えっと、その、」
「色々と悪かった、涼介」
「え?」


目の前には俺に頭を下げてる薮くんの姿。


「やだ、薮くん、顔あげてよ...!」
「涼介...」


なんだか薮くんの顔が疲れてるように見える。
俺になんて心配されたくないだろうから言わないけれど。


「薮くん、あの...、連絡先、、勝手に借りてごめんなさい」
「......」
「兄ちゃんには...俺のことで心配かけたくなくて、それで、その、今日のことは、...内緒に、しといて欲しいんだけど...」


ふと、薮くんと目が合う。
何もかも見透かされるような、鋭い目。

少しだけ、背筋が伸びた。


「慧には、知らせねぇのか?」
「うん。...そうして欲しいんだけど、お願いします」


薮くんは分かった、と言い、
その日、俺のそばにずっと付いていてくれた。

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作者名:939 | 作成日時:2017年9月29日 12時

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