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快晴の土曜日。
「新聞の勧誘は居留守使えよ?あと寝る前には必ず戸締り確認して、それと、」
「あーもう!大丈夫だってば!心配しすぎだっての!」
今日から一泊二日で雄也が実家に帰る。
玄関であれやこれやと、まるで母親のように言う雄也に俺は苦笑い。
「同窓会、楽しんできてね」
「ん、また着いたら連絡する」
まだまだ言い足りなさそうな雄也の背中を半ば強引に押し出して、「いってらっしゃい、気をつけてね!」と、後ろ姿を見送る。
雄也の姿が見えなくなるまで、振り返してくれる手に応えるように大きく手を振る。
と、同時に、ごめんなさい、と。
見えなくなるまで、心の中でひたすら唱えた。
今日、俺は雄也に嘘をついた。
「......行くか」
あらかじめ用意して隠していた、薮さん家に泊まるための大きめの荷物。
おも...。。
よいしょ、と背負い、家を出る。
「行ってきます、」
明日にはきっと、
雄也と笑顔で会えるよね、...きっと。
がたんごとん、
かたんごとん、
休日だからか、人が多い。
遊園地に行くのを喜ぶ子供、肩を寄せ合うおじいちゃんおばあちゃん、手をつなぐカップル。
なんだかみんな、楽しそう。
「っ、」
トンネルを通過した際に、窓に映った自分の姿。
なんつー顔してんだよ。
納得して行くんだろ、腹をくくれよ。
ここまできて、女々しいんだよ、俺。
「くそ、...」
もやもやを消したくて、
ゲームでもしようかとポケットからスマホを取り出そうとした、その時だった。
キキキーッと音を立ててとまる電車。
急な異変に、揺さぶられた体を支えきれず、次に来る衝撃に目をつむったのに、
あれ、、、?
全然痛くない。
そろり、と顔を上げると
「涼介くん?」
「あ......、中島、さん?」
俺のちいさな体は、中島さんの逞しい腕の中にすっぽりと包まれていた。
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作者名:939 | 作成日時:2017年9月29日 12時