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今日のバイトは20時まで。
「山田くん、そろそろ上がりな〜。あとこれ、もっていきな〜」
「わ、アイスですか?こんなにたくさん?」
帰り際に持たされたアイスクリームの山。
早く兄ちゃんにもあげようと上機嫌で家路に急いでいた時のこと。
「涼介、久しぶりだね」
突然、目の前に立ちはだかった三人組。
その中心にいたのは、俺のよく知る人物だった。
「薮くん?...、え、どうしたの?」
「ねぇ、涼介。早く慧を解放してくれないかな?」
「え?」
「お前がいると、慧が自由に羽ばたけないだろ?」
そう言って、俺の体を地面に叩きつける。
と同時に、薮くんの両側にいた人たちに手足を押さえつけられた。
「慧がやってること、お前も味わったらいい」
そう言って俺の服を乱暴に脱がせていく。
やめて、といっても止めてくれるはずはなく、しまいには口まで塞がれてしまった。
なす術、なし。
「ふぐ、っ...、んんんっ、んんーーーっ」
俺の気持ちが置いてけぼりなまま始められたその行為。
今まで誰のものも受け入れたことがないソコに薮くんの剣があてがわれ、一気に貫かれる。
激痛と共に襲ってきたのは、後悔。
奥へ奥へと押し入られる時に浮かんだのは、なぜか兄ちゃんの顔。
兄ちゃん、いつもこんな気持ちだったのかな。
絶望と諦め。
この二つが体中を支配する。
いつの間にか行為が終わり、
「恨むなら慧を恨め。俺を選ばずお前を選んだ、慧をな」
そう言って、薮くんは去っていった。
薮くんのひどく辛そうな顔が忘れられない。
どれくらいそこに横たわっていたのだろう。
痛む体をよっこらせと起こし、自分の体を見つめる。
きたねぇ体。
肌には真新しい傷が何個も浮かび、涙と体液が混じってそこらじゅうにこびり付いてる。
あぁ、アイスはもう食べられないな。
やけに冷静な自分。
薮さんは恨むなら慧を恨めと言っていた。
だけどそんなこと、出来るはずがない。したくない。
恨むべきは自分。
今まで見て見ぬ振りをしてきた自分。
俺のせいで、兄ちゃんはいくつの幸せを手放してきたんだろう。
俺がいる限り、自由になれない兄ちゃん。
俺のために体を売る兄ちゃんに愛想をつかした、幼馴染の薮くん。
分かってしまった。
いや、とっくに分かっていた。
俺は兄ちゃんに守られてきた。
だからこそ今度は、俺が兄ちゃんを自由にする番なんだ。
容器から溶け出したどろどろのアイスが
電灯に照らされて、ひどく濁って見えた。
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作者名:939 | 作成日時:2017年9月29日 12時