四十六話/爆弾魔確保 ページ46
そのまま国木田は、鉄線銃を爆弾魔の持つ遠隔操作機へ発射。
国木田の狙い通りに音を立てて落ちた遠隔操作機に、爆弾魔が声を上げた。
「確保っ!」
太宰が叫ぶのと寸分違わず、国木田が爆弾魔へと距離を詰める。刹那、遠隔操作機に目を奪われていた青年は遅れてそれに気づく。
ーーその刹那が、命取りだった。
戦いの場での一瞬の余所見。その愚行の返礼として、国木田が爆弾魔へと蹴りを叩き込む。
その後、少し遅れて重いものが倒れたような、痛々しい音がして。
晴れた視界、眼前で昨夜の敦のように爆弾魔が確保されていた。
「A、ちゃん?」
「私、怒ってるんだから」
爆弾魔へと向けられていた敦の視線をAの顔が遮る。
そのむくれ顔の少女にあたふたする敦を救ったのは「一丁あがり〜」と茂みから出てきた太宰だった。
「まぁまぁAちゃん。敦君の行動は君を助けようとしてのものなのだよ?自分の命を顧みず飛び出していった彼に先ず礼を云うのが先だと、そうは思わないかい?」
「ーー。そう、ですね。有難う敦君……でも、もう危ないことは駄目!だからね!」
「ーーうん。Aちゃんも、ありがとう。僕を助けようとしてくれて」
この先、これ以上危ないことなんて起こらないと思うが。
ともあれ、爆弾魔の確保には成功した。
それは、太宰に何か文句を云っているAと、残り秒数を示していない爆弾が証明してくれている。
その事実に敦が安堵した、瞬間だった。
「ぶッ!!」
「敦君!」
突然、後ろから誰かに押される感触。本日二度目のそれに振り向く間もなく、敦は顔面から床に倒れる。 それから、倒れた瞬間に鳴った機械音の正体。それを、確認してーー、
「あ」
音の正体は、敦が丁度倒れた位置にあった爆弾の遠隔操作機だった。
機械信号を受け取り、爆弾が表示した残り秒数はーー三十秒。
その数字を目にした瞬間、敦の口から意図せず叫び声が漏れる。
「爆弾!爆弾!あ、あと、三十秒!?」
考えないといけないのに、何かしないといけないのに。頭が、躰が、思うように動かない。
その敦の真っ白な頭の中に、天の啓示のように言葉が浮かんだ。
それは、最初二人で此処へ連れてこられた際に、Aが話していた言葉で。
「そう、そうだ。何か、被せて……被せるもの!何か!」
自力で辿り着いた答えに、敦が周りを見回そうとした。その時だった。
「な、んで!なんで!」
少女の、悲鳴とも取れる声が聞こえたのは。
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女中(プロフ) - よくねたしおだおぉぉぉぉ!!!さん» 米有難うございます励みになります!!!初めてコメントとかきて過呼吸なりました(Tほんとに!!有難うございます!!! (2022年2月7日 9時) (レス) id: 44e9453d1b (このIDを非表示/違反報告)
よくねたしおだおぉぉぉぉ!!! - ウワァ、、好き、、もっと評価されるべき!更新待ってます!!! (2022年2月6日 19時) (レス) @page45 id: a2762c3708 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:女中 | 作成日時:2021年12月4日 16時