51話 ページ4
「ま、まさか本物のピメりんに会えるなんて!!」
「何でここにいるんだ!?」
「新しく入った特進の子が実はピメりんだったみたいだよ!」
「マジかよ!!やべぇ!!」
周りの外野の声に耳を塞ぎながら、Aはブースに近づいていく。
雫が見える位置まで来ると、彼女はシェーカーを片手にウインクをしていた。
「みんなー★今から曲に合わせてカクテル作っていくから、応援よろしくねー★」
「「「うおーーー!!!!」」」
雫が歌を歌い出すと、観客はそれに合わせて掛け声を叫ぶ。
「「「おい!おい!おい!おい!ピ・メ・り・ん★最高ー!!」」」
「なるほど、そうやって掛け声するのか。」
若干引きながらも納得したAは、同じように自分も声を出す。
「「「おい!おい!おい!おい!」」」
「回・転・率★最悪ー!!」
「ちょっとA!!うるさいわよ!!」
思わずつっこんでしまったことに、雫はハッとする。
「あ、ご、ごめーん★みんなちょっとだけ待っててっ!」
雫はAをブースの裏に連れ込むと口を開く。
「あんた何しにこっちのブース来たのよ!!」
「掛け声ぴったりだったろ?」
「悪かったわね!回転率悪くて!!」
雫は溜息を吐く。
「とにかく、今はアイドルモードだから邪魔しないでちょうだい!」
「馬鹿野郎、Aも客だぞ。ブルーハワイ寄越せ。」
「ブルー・マーメイドよ!!」
「どっちでもいいけど。それより、お前に頼みがあって来たんだ。」
「頼み…?」
珍しいわね…と雫は首を傾げる。
「Aのブースにいる店長に後で握手かサインか何かやってくれ。」
「は?そうだ、あんたのブース何やってるのよ。」
「タピオカ。」
「タピオカ!?」
雫は目を輝かせる。
「私タピオカ大好きなの。」
「あぁ、そう…。とにかくそこの店長がお前の大ファンなんだ。タピオカ飲むついでにファンサービスしてやってくれ。」
「珍しいわね、あんたが人のためにそんなお願いするなんて。」
「逸品ブースに出てもらう代わりにお前を売ったんだ。」
「おい。」
雫は、やっぱそんなとこか…と溜息を吐く。
「勝手なことしてくれちゃって…。まぁいいわ。だったら、あんたも私のお願い一つ聞きなさいよ。」
「は?お願い?」
《変装解いた魚石雫》
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作者名:茶虎 | 作成日時:2019年11月18日 15時