73話 ページ26
あれから数日、A達は学園生活にもだいぶ慣れてきた様子だった。
「ん〜…おっかしいわねぇ。」
「どうしたの？雫ちゃん。」
「あぁ、千里君。いや、Aのことなんだけどね。」
「Aが何だ。」
「あ、本人登場。」
教室でスマホを見ていた雫の元に、千里とAが近づく。
「いや、だいぶみんなにもAの本性がバレてきてるはずなのに、新歓パーティーの時からあんまりフォロワーが減ってないのよね。」
「あぁ、そういやあん時、お前猫被った挨拶してたもんな。」
会話が聞こえていた孝臣はAの元にやって来る。
「なっ！？ち、違うよ孝臣！！あれは交換条件にこいつに言わされてただけで…！」
「へぇ、でも確かに猫被って挨拶してたなら、ヤンキーAちゃんのこと知ったらフォロワー減りそうだね。」
「おい、しばかれてぇのか千里。」
「事実を言っただけじゃん！！」
Aと千里が揉めていると、悠馬と藤次までやって来る。
「とにかくおかしいのよ。何でこんなに人気が落ちないのか…。」
「失礼だなお前は。Aに魅力があるからに決まってるだろ。」
「ないわよ。」
「まぁそう言うな雫。フォロワーが減らないということは実に良いことではないか。Aも影で何か努力をしているのかもしれない。」
藤次の言葉に、孝臣はAに視線を送る。
「してんのか？」
「へ？してない。」
「だよな。」
「あ、俺、心当たりあるかも。」
悠馬がそう言うと、自然と全員の視線が集まる。
「この前近くの公園でスケッチしてたらAが通りかかって、子供の遊び場を占領していた不良を追い払っていたんだ。」
「あー…そういやそんなことあったな。」
「不良は殴りかかってたけど、Aは返り討ちにしてて…少年漫画みたいでカッコよかった。で、その様子をたまたま遠くで見てたっぽい東雲の男子生徒達がカッケー！！…って騒いでて。多分そういうファンも増えてるんじゃないか？」
「あー…なるほど…？」
すると千里も思い出したように口を開く。
「あー！そういえば俺も前に街中でAちゃん見かけた！しつこいナンパ男から女の子守ってあげてて…確かその女の子も東雲の制服着てた気が…。」
「あー…そんなのもあった気が…。」
「うむ。そう言われれば前に校内で、階段から落ちた生徒を助けているのも見たことがあるな。実にあれは感心したぞ。」
「あー…。」
「お前スーパーマンか何かなの…？」
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作者名：茶虎 | 作成日時：2019年11月18日 15時
