71話 ページ24
あれから、警察に男の身柄を明け渡したA達は、事情聴取を受け、東雲の寮に戻ってきた。
「はぁ…疲れたわ…事情聴取って長いのね。」
「あの警官無能すぎだろ…！！何度同じ事聞いたら気が済むんだ！！」
「あはは…私もそれ思ったわ。」
雫はソファに腰掛けると、Aを見つめた。
「……ありがとね。助けてくれて。かっこよかったわ。」
「別に。それより、暗い道歩かせて悪かったな。」
「本当よ、あれすっごく怖かったんだから。」
「なっ…だって囮になってもらった方が手っ取り早かったし！」
「囮ってあんたねぇ…。まぁいいけど。」
Aは雫の横に腰掛ける。
「…で？まだアイドル続けんの？それとも怖くなったから辞める？」
「……。」
雫は少し俯くと、首を横に振った。
「まだ怖いけど…私は辞めるつもりはない。この仕事が大好きだから。」
「そう。」
「うん。だって私の夢は世界中の人を私の笑顔で幸せにすることだから。」
「それ風呂でも聞いた。」
「あんたって聞いてなさそうで聞いてるわよね…。昨日笑顔がどうの言われてびっくりしたわ。」
「うるせぇ。まぁ、仕事続けんならそれでもいいと思うけど、一つだけ約束しろ。」
「何よ。」
Aは少し目線を逸らしながら口を開く。
「次また何かあれば、絶対にAに相談しろ。」
「…！！」
「勘違いすんな！これはパートナーのよしみで言ってやってんだ。お前がいないとAの首席獲得も危うくなってくるからな！」
「…ふ、ふふっ。」
「なっ、笑ってんじゃねぇ！！とにかく、今後そういう奴が現れたらすぐまたぶっ飛ばしてやるから。マネージャーにも言っとけ！！」
「……うん、ありがとうA。」
「ふん。」
Aは立ち上がると、さぁー風呂風呂と言ってシャワー室に向かう。
「ねぇ、また今から久しぶりに大浴場行かない？2人で！」
「は？てめぇなんかと行くわけねぇだろ。行きたきゃ1人で行け。」
「そこは相変わらずなのね…。」
「当たり前だ。じゃあな。」
そう言うとAはシャワー室に入っていってしまう。
その様子を、雫は微笑みながら見つめていた。
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作者名：茶虎 | 作成日時：2019年11月18日 15時
