66話 ページ19
時刻は1時間程前。
授業を終えたAと雫は一度部屋に戻って来ていた。
「ねぇ！今度私達ライブするでしょ！」
「は？何だよ急に。」
「素敵なライブにする為に、衣装や髪型もうんと可愛くしたくない！？」
「…別に向こうで想像すりゃ好きな格好になれるだろ。つか言っとくけど、お前が普段着るようなTHEアイドルって感じの衣装なんて絶対着ねぇからな。」
「あら、そんなこと言わずに一度着てみればいいじゃない！」
「嫌だ。」
「え〜？孝臣君がもしかしたら可愛いって思ってくれるかもよ？」
「ッ！！」
「どう？試すだけならタダじゃない…？」
「…っち、一回だけ…なら…。」
「よーし！！じゃあ早速始めましょう！！」
雫は自身のクローゼットを開くと、ヒラヒラのワンピースを持ってくる。
「うげ…これ着るのか…。」
「後は〜、私とお揃いの髪型にもしたいわね。」
「え、あのアイドルの時の…？」
「そうよ！あ、シュシュとかもお揃いにして〜っと。」
「…………。」
そのままAはされるがままに雫に着飾られていると、40分ほどで完成して自身を鏡で見る。
「う……っ！！」
「はーはははは！！ちょ…っ、ちょっと待って…！！あんた似合わないにもほどがあんでしょ！！ひー…っ！！」
「て…っめぇ！！ぶっ殺されてぇのか！？」
「いやいやこれは笑うなって方が無理！！可愛い服着てんのにそんな目付きの悪さじゃ本当台無し…ってか、ただただ似合わな〜い！！あははは！！」
「殺す…お前だけは殺す…。」
「孝臣君に見せてきたら？…ぷぷっ。」
「見せるか！！！」
Aは怒ると髪を乱暴に解き、衣装を脱ぎ捨てた。
「あーっ！！ちょっと！人の服そんな乱暴にしないでよ！！」
「破らなかっただけマシに思え！！」
「もう…そんな怒って……っふふ、いや、でもさっきのあんた本当傑作…！！」
「おい…死に方の希望くらい聞いといてやる…選べ。」
「ちょっ！？首締めないでよ！！さっき撮った写真SNSに上げるわよ！？」
「はぁ！？てめぇいつの間に！！」
「はーい、わかったら手、離してくれる？」
「〜〜〜ッ！！100回死ね！！！」
Aはそのまま服を着替えると雫を強く睨みつけて背を向ける。
勢いよく部屋を飛び出した彼女は、それから孝臣達の部屋に来たのであった。
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作者名：茶虎 | 作成日時：2019年11月18日 15時
