43話 ページ44
(Aの願い…それはきっとどれだけ考えても孝臣の望みを叶えることになってしまうだろう…。)
でも仕方ないのだ、だってそれがAの願いだから───。
Aは儚げに笑うと口を開いた。
「なんか、孝臣の願い聞いて、尚更孝臣に首席取ってほしくなったよ。」
「……。」
「でも、Aも首席目指すことにする!」
「!!」
孝臣は驚いた顔でAを見つめる。
「どういう心境の変化なわけ?」
「孝臣はぜーったい首席取ると思うけど、万が一!もし万が一孝臣が取れなかった時の保険!Aが首席になって孝臣の願いを叶える!」
「…いや結局俺の願いじゃねぇか!」
「だけど!Aはもう一つ目標を作ることにする!」
「目標…?」
Aは頷くと答える。
「それは卒業までに自分の願いを見つけること。」
「……。」
「願いが見つかれば、Aは首席になってそれを叶える。願いが見つからなければ、孝臣の願いを叶える。」
孝臣はフッと笑うとAを見て答えた。
「ま、いんじゃねーの。それなら。」
「えへへ。でも孝臣命なのは変わんないと思うけどね〜。」
Aはニコニコしながら残りのハンバーガーとポテトを食べきる。
「…ご馳走様でした!てことで、これから本当は孝臣と一緒にいたかったけど、首席獲得を目指すため、まずは明日の逸品探しの旅に出たいと思います!」
「は…?お、おう…。」
「だから今日はここで失礼します!またね!孝臣!」
「え、あ…気をつけろよ…。」
戸惑う孝臣を他所に、Aはテキパキと食べた物を片付け店を出ていく。
最後のシェイクを吸いながら、孝臣は窓の外から手を振るAを1人見つめていた。
「思い立ったらすぐ行動……すぎるだろあいつ…。」
・
・
その日の夜。
「〜〜♪」
「あら、遅くに帰ってきたと思ったらご機嫌ね。」
「は?なぜご機嫌だとわかるお前。」
「いや鼻歌歌ってんだからご機嫌だと思うでしょ。」
部屋に戻ったAは風呂の支度をしながら雫を睨みつける。
「そんなことない。一つだけ悲しいことがあった。」
「何?」
「夜ご飯…孝臣誘ったら、もう食べたって言われた…。から1人外食してきた…。」
「あーはいはい。ちょっと心配した私が馬鹿だった。」
「お前…人がこんなに落ち込んでるのに…!!」
「でもいいこともあったんでしょ?」
その言葉にAは黒い笑みを浮かべる。
「うん。それはもう…ねぇ。」
「え、何怖…。」
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うりぼー - 絵が上手すぎてびっくりしました。主人公めちゃかわ (2021年2月26日 2時) (レス) id: 8c3f058671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茶虎 | 作成日時:2019年11月13日 15時