33話 ページ34
「ほ、本当に消えた…。」
「血も出てねぇ…傷跡すらねぇなんて。」
A達が唖然としていると、ふわりと先程の女の人が近づいてくる。
「やっぱり1年生は初々しいね。」
「!!」
女の人が声をかけると、藤次の胸に沢山の矢が再び刺さりだす。
「ぎゃーっ!!また矢が!!」
「気持ち悪ぃ…。」
「大丈夫?」
「ッ…!!」
女の人が心配の声をかけると、藤次の胸に更に矢が刺さる。
「…もしかして、これって。」
雫が何か浮かんだような顔をすると、突然孝臣を軽く突き飛ばす。
「えいっ。」
「…は!?」
孝臣は軽くよろめくと、近くにあった壁に手をつく。
しかしその間にはたまたまそこにいたAが挟まれていた。
いわゆる壁ドン状態になったAはつい間近になった孝臣の顔を見る。
「!?!!?!?!?!?」
「あっ…悪りぃ。つか、おいてめぇ何しやが…は!?」
Aの胸には藤次に負けないレベルの大量の矢が刺さっている。
「う、うわぁ!?何だコレ!?今度はAにも刺さった!!」
「…やっぱり。」
「やっぱりって何だお前!!こいつに何しやがった!!」
雫は確信した表情を見せると口を開いた。
「これは恋のキューピッド的な矢なのよ。ときめいたりすると夢の中だからその気持ちが具現化されて刺さるの。」
「そっか!そういうことか!」
「なっ…!?」
「そうなの?」
「なるほど…。」
「そうか…これは孝臣に刺された矢…。」
「いやちげぇよ!!何で少し嬉しそうなんだよお前は!!」
「若いな。」
「違う!俺は誤解だ!」
「藤次…っつったか。お前も認めろ。お前が誤解だとAの方も誤解になるだろ。」
嬉しそうに矢を握り締めるAを見て藤次はたじろぐ。
しかし、相変わらず綺麗な女の人を見つめると、藤次の周りにはピンクのハートがふわふわと浮かび上がっていて、否定も虚しくなっていった。
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あの強烈な体験の後、目覚めさせられたA達は寮へと送り出されていた。
寮に着くと、既に特進以外の1年生は集合していた。
「…ッチ、人多くてうぜーな。」
「おいこら、てめぇら散りやが…むぐっ!?」
「大人しくしてろ…。」
孝臣に口を押さえられたAはジタバタとする。
「……あんたも大変ね。」
「うるせぇ。」
「ぷはっ…!何だお前!さっきから馴れ馴れしく話しかけてきやがって!…ハッ、まさか孝臣のファン…!?」
「違うわよ…。」
「ホッ…よかった。」
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うりぼー - 絵が上手すぎてびっくりしました。主人公めちゃかわ (2021年2月26日 2時) (レス) id: 8c3f058671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茶虎 | 作成日時:2019年11月13日 15時