18話 ページ19
「親父、頼まれてた書類、まとめ終わったけど。」
「おう、ありがとな孝臣。そろそろ休憩するか。」
ある日の夜、孝臣は父親の仕事をいつも通り手伝っていた。
ひと段落ついた2人はテレビの前のソファに腰掛ける。
「はぁーっ、にしてもAちゃん、すっかり来なくなっちまったな。よっぽどお前との喧嘩が響いたんだな。」
「だから喧嘩じゃねーって。」
「はいはい。Aちゃんじゃ東雲に行けないって伝えたんだろ?お前の言い方があまりにも酷だったとかじゃねぇの?」
「別に普通だわ。ったく、勝手に懐いて勝手に離れて…意味わかんねぇ。」
「あ、お前もAちゃん来なくなったのショックなんだ?」
「は!?ちげぇよ!!」
「ふーん。お、そんなことより今日GOEMONやってんじゃねぇか。俺あれ結構好きなんだよなー。」
「そんなことより…って、親父が話し始めた内容だろ…!」
はぁ…と溜息を吐きつつも、孝臣もテレビを見やる。
GOEMONは人気テレビ番組で、超難関な巨大フィールドアスレチックを、応募した100人の様々な男女が挑戦していく番組である。
毎回決まって100人が出場し、1st、2nd、3rd、FINALの4つのステージに分かれたさまざまな障害物をアクションゲームのようにクリアしていくのだ。
「おーおー、このおっさんすげぇな。服の上からでも筋肉がわかるぜ。」
「でも体重そうだな。これは筋力だけあってもクリアできねぇからな。」
「…………あっ、案の定落ちた。いやあの体は支えれんだろ。」
「……よく見るともう番組後半じゃねぇか。今んとこ今回のクリア者はまだいねぇみたいだな。」
クリアできなかった男性のインタビューが終わり、次の挑戦者の紹介に移る。
「……ぶはっ!?」
「おい…あれって…。」
孝臣が飲んでいたコーラを吹き出す。
テレビに映っている次の挑戦者は、なんとAだったのだ。
「え?は?あいつ何してんの!?」
「はっ、はははははは!!!本当Aちゃんは面白いことするね!!」
テレビの中の観客からは、子供の遊び場じゃないと笑うものや、戸惑いを示すもの、素直に応援するものと様々な声が上がっていた。
『えー、豹華さんは今回最年少の…しかも女の子の挑戦ということでかなり注目が集まってます。お気持ちはどんな感じですか?』
『ごちゃごちゃ外野がうるさい。Aは間違いなくクリアするから黙って見てろ。以上。』
そう言うとAはゴールをギラリと睨みつけた。
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うりぼー - 絵が上手すぎてびっくりしました。主人公めちゃかわ (2021年2月26日 2時) (レス) id: 8c3f058671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茶虎 | 作成日時:2019年11月13日 15時