16話 ページ17
それから暫く、Aは孝臣に会いに行くこともなく日々を過ごしていた。
(孝臣の言う通りだ…。Aには学力も無ければカリスマ性もお金もない。取り柄は喧嘩が強いだけ…。)
「こんな力あったって…っ。」
Aは拳を握りしめながら学校の廊下を歩く。
「豹華さん、最近は特に機嫌悪そうだよな…。近づくと殺されるぞ…。」
「うぅ…もう目線だけであれ人殺せるよな…。」
そんな悪口さえ聞こえないくらい、Aは一人悩み続けていた。
「あっ、豹華さん！こんな所でどうしたの？」
「あ？誰だっけお前…。」
「ひどいなぁ…同じクラスの九条だよ。ほら、前に高校生達から助けてもらった！」
そう、彼はAが孝臣と出会うきっかけになったあの気弱な少年だった。
「あぁ、お前九条って名前だったんだ。」
「はは、豹華さんは本当に周りのことに興味がないね…。」
Aはその言葉に少し眉をしかめる。
「そんなことはない。1人だけ、特別な人はいる…。」
「あ、もしかして獅子丸さん？あの日おぶってもらってたもんね。僕豹華さんが誰かに助けてもらってるのなんて初めて見たよ。」
「……そうだな。孝臣は、優しい人だ…。」
切ないような嬉しいような、ごちゃごちゃの感情が湧き上がる。
「大丈夫…？何か悩みがあるなら、僕でよければ聞くよ。あ、でもその前に着替えてこないと！僕ら次体育だよ！」
「体育…？」
「うん！あ、もしかしてまだ足治ってない…？」
「いや、もう大丈夫だから今日から受けるつもりではいたけど、体育は6限じゃなかった？」
「今日5限と6限入れ替えなんだよ！朝先生が言ってたよ！」
「ふーん。寝てたわ。ま、いいや。じゃあ着替えてくる。」
「うん！とりあえずまた後で落ち着いたら話聞くよ。」
「お前…。」
Aはジッと九条を見つめる。
「よく普通にAと話せるな。」
「え…！？だ、だって、豹華さん、本当は優しい人だし…。」
「じゃなくて、注目浴びてるぞ。」
「えぇっ！？」
見ると遠巻きにAと九条の様子を観察する生徒が何組か集まっていた。
「じゃ、あいつらの目うぜぇからもう行くわ。後でな。」
「う、うん！うわぁ、僕も着替えてこよう…！！」
Aが歩き出すと、集まっていた生徒は全員散らばり、即座に道が開かれていった。
Aはその様子を見て舌打ちをしながら歩いていった。
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うりぼー - 絵が上手すぎてびっくりしました。主人公めちゃかわ (2021年2月26日 2時) (
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作者名：茶虎 | 作成日時：2019年11月13日 15時
