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「わ、え、」



ふんわりと包まれた左手に軽く、パニック
なにこれ
大野くんを見上げるとちょっと楽しそう。
意外に、Sなの?
どうしようかっこいい。



「びっくりした?」
「当たり前です!」
「やだ、?」
「やじゃ、ないです…」



大野くんにはなぜか嘘がつけなくて。
私の言葉に、ふふんって、嬉しそうに笑う。
嘘ついたら、すぐばれそう。
嘘でしょ。って言われそう。
全部、わかってるみたいな目。綺麗で余裕のある感じ。



「暗いから、家まで送ってく」
「え!でも、大野くんだって帰るの遅くなっちゃう、」
「おれは男だからいいの(笑)」



駅を出ると、もう雨は上がってて。
湿った空気の中、ゆらゆら揺れる繋がった手が嬉しい。
頰が緩む。
にこにこしちゃう。



「んふ、そんな、たのしい?」
「たのしいです!」
「そっか」



ふわぁって笑う大野くん。
癒される。

家の前まで来ると、大野くんはなぜか表札をじっと見てちょっと難しい顔。
なにか…?って聞くと、はっと我に返ったようになんでもないよ、って。



「私、お兄ちゃんがいるんです」
「…そうなんだ」
「櫻井翔って言うんですけど、知ってますか?」
「ん…知らない」
「ですよね…」



ごめんね、って
大野くんはなぜかすごく申し訳なさそうに言った。
知らなかっただけなのに、そんな風に謝られるとこっちもちょっと戸惑う。



「ん、じゃ…行くね」
「ありがとうございました、送ってくれて…あと傘も」
「んふ(笑)うん」



じゃあ、また。
するりと手が離れる。
名残惜しそうなのは、…私だけじゃない気がする。
小さく手を振って、大野くんは駅の方へ、今来た道を戻っていった。
華奢で、男らしい背中を見つめる。

家に帰って、自分の部屋のベッドにダイブ。
どうしよう!大野くんっていうんだって!
手、繋いじゃった!


明日…どうしよう。
朝、会いたいし楽しみだけど。
もう私、大野くんが好きだって言ってるようなことばっかりしてる。
恥ずかしい。今思うと恥ずかしくて顔から火が出そう。

明日の朝、どんな顔して会えばいいの
なに話せばいいの

ちょっと。
ちょっと考えたい。時間を置きたい。
今日の明日で朝会うのは心の準備が足りない。

このドキドキと、戸惑いと…色々混ざってごちゃごちゃになった心を落ち着かせたい。
だって。今でも、あの背中を思い出すだけでキューンてなるんだもん。
次話したら倒れるかも。免疫つけなきゃ。




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(プロフ) - こつぶさん» はじめまして!ちょっとめんどくさいキャラですけどかわいいですよね(笑)応援ありがとうございます!完結までお付き合いいただけると嬉しいです! (2015年9月25日 8時) (レス) id: a21bbc6b43 (このIDを非表示/違反報告)
こつぶ(プロフ) - はじめまして!大野先輩かわいすぎます!応援してます(^O^) (2015年9月21日 8時) (レス) id: 9b7f87ea8c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 咲優さん» ずっと応援してくださっていただなんて、とても嬉しいです!こんな先輩、いてくれたらいいんですけどね…(笑)ドキドキしていただけて安心です。これからも頑張ります。コメントありがとうございました! (2015年9月9日 0時) (レス) id: a21bbc6b43 (このIDを非表示/違反報告)
咲優(プロフ) - 煌さん、おかえりなさい♪ずっとこっそり応援してました(*´ω`*)お話、初々しくてドキドキします(^-^)これからもがんばってくださいね♪ (2015年9月8日 17時) (レス) id: 7deb92bbf3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年9月5日 19時

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