【短編集】架空の愛慕

1-求愛病- ページ1

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薄暗い部屋で、一人の少女が泣いていた。


少女は今にも息絶えてしまいそうな姿をしていた。
か細い腕、青白い肌、そして生気を失った右目。


そんな少女の姿を嘲笑うように堂々と咲いた左目のカモミール。


そう、少女は『花咲病』にかかってしまっていた＿＿＿


『花咲病』可憐で美しいその病気は見た目とは裏腹に人を死へと追いやる病。


花が咲いたら最後、花に栄養を吸い取られ惨めな姿で死んでゆく。


治療法もなく、患者はただただ死を待つばかり。


そんな病にかかった少女、立花彩(たちばなあや)もその1人だった。


彩は病にかかってからというもの、外に出るのを嫌い、人と合うのを避け、
毎日薄暗い部屋で独り泣くだけだった。


そんな彩を心配してか、彩の生きがいであるkz(カッズ)のメンバーが
日替わりで家を訪ねていた。


しかし、そんな彼らでさえ彩に直接会うことはなかった。


会うのは決まってドアの外。


彩が家からでなくなってからというものkzメンバーは一度も彩の姿を見れていない。


花咲病になった彩とkzメンバーの間には薄くて、それでいて厚い一枚の壁があった。

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