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「あれ、先客だ」
屋上のドアの開く音と共に、現れたのは遊真くんだった。
「よう、遊真」
「迅さんにAさん。もしかして邪魔だった？」
「いや、来ると思ってたよ」
「サイドエフェクト？」「そうだよ」と2人は少し笑いながら会話を続ける。その様子を見て、迅と離れていた5年の歳月がふっと頭をよぎった。私が居なくても、というよりどうしたって時間は勝手に進んでいく。私が戦争に身を置く間に、ボーダーはどんどん大きくなっていったんだ。
「遊真はさ、ここにくるまでずっと戦争に参加してたんだ」
不意に迅がそう言った。過去へと意識が向いていた私を現実に引き戻すものだった。
「迅さん？」
遊真くんは急にどうしたんだろうとでも言うように迅に視線を向ける。
「Aも、向こうの世界で戦争を経験してた」
「へぇ」
遊真君は驚いたように、今度は私に視線を向ける。
「迅さんには言ったけど、俺はトリオン体なんだ。本体は親父のブラックトリガーの中にいる」
遊真くんはゆっくりとその生い立ちを私に話してくれた。
自分よりも年下でまだ守られるべき年齢の彼は、想像以上に背負っているものは重く、そして残酷的な現実だった。
「遊真くんは、向こうの世界で……その、人の生死に関わって……辛くなったことはない？」
口から出た言葉は、私が考えているより先に滑り落ちた。
「辛いって思ったこと……？どうだろう、やらなきゃやられるからね。そもそも俺はそういうところで育ったから」
彼は私が思うよりもずっと強くて、芯がしっかりしていて、まっすぐ前を向いてた。この夜の中で1人、私だけがふわりと覚束無いような感覚。
「ゆっくりでいいよ、A」
今まで黙っていた迅が私に話しかける。
「忘れるなんて多分、きっとずっとできない。忘れるんじゃなくて、今を考えるんだ。言ったろ？今を生きようって」
人間はそうやって成長していく、迅はそう言って口を閉じた。
迅も、遊真くんも優しげな瞳で私を見つめてくれている。星空の下、フェンスにかけた手をぎゅっと握って私は大きく息を吸った。
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鏡 - なぎささん» なぎささんコメントありがとうございます！好きと言って頂けるだけでありがたいのに5回も読み直して頂けるなんて恐縮です…！本当に本当にありがとうございます！嬉しすぎて泣きそうです…不定期更新でご迷惑お掛けしますがこれからも頑張りますね！ (2022年10月1日 20時) (
レス) @page49 id: 79e67df0bc (このIDを非表示/違反報告)
なぎさ(プロフ) - 更新ありがとうございます！この小説が好きすぎて5回は読み直しました...これからも応援しております🥳ご無理のない程度に頑張ってください！ (2022年9月30日 20時) (レス) @page48 id: 0fe7f18098 (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - 璃々さん» コメントありがとうございます！手探りで進めているようなお話ですが面白いと言って頂けて本当に嬉しいです！続きも待ってくださるなんて本当に嬉しすぎて転げ回っております…本当に励みになりました！不定期更新で申し訳ないですがこれからも更新頑張りますね！ (2022年7月30日 0時) (レス) id: e6b083c4a6 (このIDを非表示/違反報告)
璃々(プロフ) - コメント失礼します！近界から帰ってくるっていう新しいタイプのお話ですごく面白いです！！！夢主の実力がどのくらいかとかほんとに気になって仕方ないです…続き楽しみに待ってます！頑張ってください!!! (2022年7月29日 19時) (レス) @page31 id: e950c5fcca (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - ゆん。さん» コメントありがとうございます！世界観にハマるだなんてとてもとても嬉しいお言葉ありがとうございます！私もゆん。様のお言葉に励まされ飛び上がって喜んでおります…！これからもちょこちょこ更新しますのでどうぞよろしくお願い致します！ (2022年7月15日 12時) (レス) id: d84ec32568 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鏡 | 作成日時：2022年6月30日 2時
