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それから全員でご飯を食べた。誰かと食事をとるのは本当に久しぶりで、噛み締める味がどこまでも美味しくてそこでもまた泣きそうになった。
それから三雲くんと千佳ちゃん、烏丸くんは自宅に帰り、玉狛支部には見慣れた顔と遊真くんが残っていた。
「ようみんな〜！」
「皆の衆戻ったぞ」
知った声は林藤さんだった。
「林藤さん！」
「おう、A。迅から聞いたよ。戻ったんだってな、おかえり」
「ありがとうございます」
林藤さんとも握手を交わしていると、下から視線を感じた。
「誰だ？見ない顔だな」
見るからにカピバラであるが、謎の生物に跨る子供。年齢は5、6歳程度であろうか。迅からの話を思い出し、この子供がアリステラの彼であることに気づくと同時に迅はその子供の頭を撫でた。
「陽太郎、この人が月刀Aだよ」
陽太郎と呼ばれた子供は、その言葉を聞くと目を輝かせた。
「お前がAか！！」
「は、はい」
「迅から聞いているぞ！Aはオレたちを助けてくれたそうだな、お礼に雷神丸のお腹を撫でさせてやってもいいぞ」
雷神丸っていうのはこのカピバラのことだよ、と迅は私にこそりと耳打ちをした。
「で、こっちがヒュース。アフトクラトルの捕虜で色々あって元の国に帰りたい奴」
視線を彼の方にやる。角が生えていた。
「アフトクラトル……」
私の呟きに迅が反応する。
「知ってるのか？」
「向こうの世界にいた時に……国の名前を聞いた程度だけれど」
それを聞いて林藤支部長は何かに気づいたようにああ、と呟いた。
「そう考えると、ヒュースとAは同じような境遇だな」
「なに？」
我関せずといった態度を取っていたヒュースが意識をこちらに向ける。捕虜、と迅は言っていた。ボーダーがアフトクラトルと戦ったことは話に聞いていた。つまり彼は。
「ヒュースも1人残されたんだ、ここにね」
残された、と残ったは同じようで違う。私は自分の意思であの土地に残った。しかし彼は、残されたのだ。勝手知らぬ土地で1人残る気持ちを、自分は知っている。
「過ぎたことだ。俺は主の元へ帰る、それだけだ」
同情、僅かに抱いたその感情に蓋をした。彼の瞳には絶望なんてものは映っていない。残されてなお希望を捨てないその瞳に私は吸い込まれるようだった。
「強いんだね、ヒュース」
私の口から無意識に漏れ出た言葉に目の前の彼はふん、と鼻で笑った。
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鏡 - なぎささん» なぎささんコメントありがとうございます！好きと言って頂けるだけでありがたいのに5回も読み直して頂けるなんて恐縮です…！本当に本当にありがとうございます！嬉しすぎて泣きそうです…不定期更新でご迷惑お掛けしますがこれからも頑張りますね！ (2022年10月1日 20時) (
レス) @page49 id: 79e67df0bc (このIDを非表示/違反報告)
なぎさ(プロフ) - 更新ありがとうございます！この小説が好きすぎて5回は読み直しました...これからも応援しております🥳ご無理のない程度に頑張ってください！ (2022年9月30日 20時) (レス) @page48 id: 0fe7f18098 (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - 璃々さん» コメントありがとうございます！手探りで進めているようなお話ですが面白いと言って頂けて本当に嬉しいです！続きも待ってくださるなんて本当に嬉しすぎて転げ回っております…本当に励みになりました！不定期更新で申し訳ないですがこれからも更新頑張りますね！ (2022年7月30日 0時) (レス) id: e6b083c4a6 (このIDを非表示/違反報告)
璃々(プロフ) - コメント失礼します！近界から帰ってくるっていう新しいタイプのお話ですごく面白いです！！！夢主の実力がどのくらいかとかほんとに気になって仕方ないです…続き楽しみに待ってます！頑張ってください!!! (2022年7月29日 19時) (レス) @page31 id: e950c5fcca (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - ゆん。さん» コメントありがとうございます！世界観にハマるだなんてとてもとても嬉しいお言葉ありがとうございます！私もゆん。様のお言葉に励まされ飛び上がって喜んでおります…！これからもちょこちょこ更新しますのでどうぞよろしくお願い致します！ (2022年7月15日 12時) (レス) id: d84ec32568 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鏡 | 作成日時：2022年6月30日 2時
