福富さんと自転車競技部３【弱虫ペダル】 (ページ8)

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107*インターハイページ8

バスの窓際の席から見上げた空はキラキラと、いいや、ギラギラと夏の陽射し。
荒北さん暑いの苦手だから大変だよね…荒北さんだけじゃない他のひと達にも厳しいものになる。

前の方の席に座る選手達はそれぞれマイペースで、真波君に至ってはバスにいない…
先程東堂さんと連絡が取れたらしく、遅刻だ。

こんな日にまで遅刻って…
インターハイの初日だっていうのに…

「ボーッとして大丈夫か？」

『…ユキちゃん、今日は熱くなるね。』

「あぁ。帽子持って来てるか？選手のサポートも大事だが、Aも水分補給ちゃんとしろよ」

『…お母さんかよ』

「なっ、目ぇ離すと自分のこと疎かにすんだろ」

『そんなこと…』

「あんだろ。」

隣の席に座るユキちゃんもサポートとしてインターハイに参加する。
本来なら３年生の先輩が入るはずだけど、ユキちゃんは「来年の為に近くで見たい」と志願してくれた。

『…ユキちゃんって時々お兄ちゃんより、お兄ちゃんみたい。』

「…そーかよ」

あっち向いちゃったから話は終わったけど、この人には本当にお世話になっている。
それに対して笑ってしまえば、「笑ってんじゃねぇよ」ってさ。

正直、初めてのインターハイだから緊張していてユキちゃんが側に居てくれる事に安堵してる。

程無くしてバスは会場に到着した。

私達は荷物を降ろして、箱根学園のテントに運び、荷開きをしなくてはいけない。
慣らしでローラーも回すだろう、開会式には皆が壇上するから写真も撮らなければ。

頭のなかで考えをまとめて行動に開始する。

箱根学園自転車競技部と背中に書かれた、皆とお揃いの白に青いラインのジャージを着ていることが誇らしかった。

周囲が彼等【絶対王者】の登場にざわめきたっている。

注目がすごいのに、各々は気にもせず堂々としていた。

「重いだろ、持つよ。」

『これくらいなら大丈夫、ありがとう。』

バスではアイマスク付けて寝ていた隼人君。
今は朝ごはん？なのかあんパン食べてる…
沢山の人が見ていても相変わらず。

『隼人君のレース見るの３年ぶり。』

「見ててくれ。Aがいてくれるだけで力になる。」

『ちゃんと見てる、だから…』

頑張って、なんて当たり前の言葉が口から出そうになる。インターハイと言う高校最高のステージで頑張らない人なんていないんだから。

『…信じている。』

「A…そいつは期待に応えないといけないな。」