福富さんと自転車競技部３【弱虫ペダル】 (ページ6)

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105*期待値ページ6

インターハイ前日。
いい天気だから洗濯物がすぐ乾くだろう。

明日の自転車競技部としての荷造りをし、
いくら箱根が会場だからって忘れ物をしちゃダメだから再度確認。
部員の皆さんもお手伝いをしてくれたからバスへ積むのはあっという間で有難い。

…それにしても箱のパワーバー、大半は隼人君が食べるのかな…燃費悪いよね。

「Aちゃ～ん」

山から戻ってきた真波くんがニコニコと私の前に停まる。
タオルとドリンクを手渡し、やはり楽しかったのかニコニコとしていた。

「明日が楽しみだなぁ。
俺、頑張るから応援してくれると嬉しいな」

『勿論だよ。
応援するし、ちゃんと見ている。』

「心強いな。
あ、覚えてる？俺が速いってこともちゃんと見てて。」

好みのタイプを聞かれて『速い人が好き』って言った。
言ったけど…

「あはは、困った顔してる～
押せ押せ！だね。インハイ、楽しみだなぁ。」

『怖いんだけど…押せ押せって。』

笑いながら「戻りました～」って部室に入っていく、のかと思えばこちらを振り返って「おいでよ」って。
アイドルみたいな爽やかなイケメンの笑顔は正直胸に来るものがある。

『イケメン、こわい。』

「イケメンとは俺のことか？」

肩を叩かれた事に振り返ればあちらも山帰りの東堂さん。
タオルを手渡し今度こそ部室に入れば、熱気が凄い。

中ではお兄ちゃん含め残りのインハイメンバーがローラーを回している。
その回りで部員が時間を伝えている。
いつもの光景…

車輪とローラーの摩れる音
滴る汗と息遣い

ドリンク、用意しなきゃ…そう思うも早鐘を打つ胸は痛いほどに鳴り響く

あちらが顔を上げた事で目が合うも
いつものように反らす事なんて出来なくて

柔らかく笑われるから、また、大きく胸が鳴った。

「あと10秒です！！」

時間を知らせる声に彼はまた下を向き全開でペダルを踏み込む。

「終了です！お疲れ様でした」

タオル、渡さなきゃ…ドリンクも…
仕事中に何してるんだと思うも控えていた部員がそれぞれに渡していて。

自転車から降りるも息が乱れていない様子を見せ、パワーバーを食べ始めている。

逃げるように部室を出て、用具室へと駆け込む。

胸の高鳴りは治まりつつある…

いつもと変わらないのに、明日がインターハイだから緊張しているのかな…
それとも…

箱根の直線に現れる鬼を、期待してしまっているのかな…