福富さんと自転車競技部３【弱虫ペダル】 (ページ3)

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102*宿泊名簿ページ3

Aside

「今行く。」

監督が寮に来るなんて珍しい、と思いつつさっさと行ってしまうお兄ちゃんの後を追った。

『なんの話かな？』

「さぁな。」

玄関で待つ監督に挨拶をすれば早速の本題。

「インターハイの開催地は分かっている通り箱根だ。
地元と言うことで出場メンバーとサポート数人以外は旅館に泊まらず各自応援に行くように話していた。」

仕事を終えたら寮に帰り、次の朝にまたスタート付近に車で移動すると顧問の先生と日程を話していた。

整備もしたいし、お兄ちゃん達三年の最後の勇姿を見たい。と多少駄々をこね、スタート地点と給水所、その日のゴールを先生と車で先回りする予定。
…寧ろ先生だってその地点で選手を見たそうだ。

「神奈川のローカル番組や箱根のラジオ効果もあり、夏休みの繁盛期に関わらず部屋をもう１つ用意していただくことになった。
旅館の支配人が箱根学園自転車競技部のファンらしくてな。
その部屋をマネージャーに使ってほしいそうだ。」

「有難い話ですね。
A、共に同行しマネージャーとして俺達のサポートを頼めるか。」

真っ直ぐ見つめる兄、いや、箱根学園の主将。

自転車が好きで自転車競技部を見るのが大好きで、今では箱根学園のメンバーの走りが見たくて仕方ない。
そんな彼等のサポートが出来るなら…

『はい！マネージャーとして何でもします。
任せてください！』

帰る監督を外まで見送れば、雨は小雨に変わっている。
インターハイは晴れると天気予報が言っていた。

「旅館の支配人も君のマネージャーとしてのひたむきな姿勢を褒めていたよ。
息子さんの嫁に来てほしいなんて笑っていたぞ。」

箱根学園は箱根という街に応援されている。後援会もあるくらいだ。
だからサイクルタイムズには苦笑いするけど、地元の取材には応えなければいけないと東堂さんに教わった。
そのおかげで顔もばれてる…恥ずかしい。

ってか旅館の息子って東堂さんみたいだな。
そう思いつつ苦笑いをし監督を見送った。

旅館のお部屋は【箱根のエースの妹】だから頂けたものだろう。
…悠人だったら嫌がりそうかも。

『それでも…有り難いな…
お兄ちゃん、さっきも言ったけど全力でサポートするから。』

「あぁ、任せた。
俺はゴールを取る！俺達は強い！」

大好きな箱根学園自転車競技部の為に３日間マネージャーの仕事に徹する。