65*黒猫のステップ ページ16
黒田雪成side
廊下からでも分かるほどにざわざわと教室が騒がしい。
何かあったのか？なんて軽く考えて覗けば、騒動の渦中に久しぶりに顔を見るAがいた。
クラスの女子の真ん中で胸ぐら捕まれていて、焦り止めに入れば騒ぎは鎮静化。
止めに入るまで数秒間に魅入ってしまったのは鋭い瞳。
笑った顔、困った顔はよく見てきたが、他人に敵意…捕食者側の表情は彼女が元ヤンだと噂されるのにはうってつけの物かもしれない。
もしかしたらそっちが素かもしれないと思うと妙に胸が高鳴った。
俺が仲裁に入るも動揺するのはタメの女子たちで、Aは悪びれる事もなく謝って笑っている。
去り際に見せたのはいつもの困ったように笑う顔。
「前も俺にAが元ヤンって教えてきたよな？
そんなに嫌ってるのにいちいち突っ掛かるのって労力の無駄じゃねぇの？」
よく聞けば今でも新開さんと、東堂さんと親しいのが気に食わないとか。
二人とも面倒見がいいし、荒北さんだってAのこと妹みたいに扱ってる。
「…気持ちがわからねぇ訳でもねぇよ。
いくら想っても自分のこと見てもらえねぇし。」
「…黒田クンにも好きな子いるの…？」
「あぁ、すっげぇ好き。
あんたらと同じ状況だよ。」
*
「…って話が昼休みにあって自分で言ってて少し泣きそうでした。」
「んなこと、知らねぇよ！」
練習場に先に来ていた荒北さんの隣でローラーに乗りながら愚痴るもこの人からまともなアドバイスなんて聞けないだろう。
「Aチャン、泣いたりはしてないんだろ？話し振り的には。
良いねェ、獲物狩る顔。俺もそれなら見てェ」
「俺らの前ではキャラ作ってるんですかね？」
「あァ？素の自分なんて並大抵の奴にしか見せないだろうし、男子寮に男子部のマネージャー、はニコニコしてた方が人好きするし処世術なんじゃねぇの？」
「並大抵の奴…」
視線の先には実行委員の仕事を終えたのか部活に来たAと彼女に声をかける新開さん。
ニコニコした顔に対して、そっけなくしているも最後には柔らかく笑う。
…気に食わないより、羨ましい。
振り向かせたいなって思うよ、俺は。
『ユキちゃん、さっきありがと。
恥ずかしいところをお見せしてしまい…』
「やっぱり元ヤンなんだなって思った。」
『…なっ！
お願いだから忘れて』
久しぶりの笑い顔を見て、無性に抱き締めたかった。
A越しに瞳が合う新開さんに負けたくないと思いながら。
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モカ(プロフ) - しおらんさん» ありがとうございます！更新亀ですがよろしくお願いします!! (2019年8月12日 23時) (
レス) id: d3f4b94a5b (このIDを非表示/違反報告)
しおらん(プロフ) - 凄く面白いです！新開夢はほぼ見ないので初めてこんなに集中して読みました！かっこいいですね！続き楽しみにしています！ (2019年8月12日 15時) (レス) id: 7c779db0ef (このIDを非表示/違反報告)
餃子 - 更新頑張って下さい！ (2019年7月27日 16時) (レス) id: 88c2981b01 (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - 重岡 かえでんちょさん» 今晩は、はじめまして！教えていただきありがとうございます(*^^*) (2019年4月7日 23時) (レス) id: d3f4b94a5b (このIDを非表示/違反報告)
重岡 かえでんちょ(プロフ) - こんばんは！いつも楽しく読んでいます。先程95話を拝見した時に誤字を見つけたので報告のコメントです。夢主ちゃんの台詞で「サプライズはまだしも」が「サプライズ浜田市も」になっています！更新頑張ってください、応援しています！ (2019年4月6日 23時) (レス) id: 50714d3e7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：モカ
| 作成日時：2018年9月13日 22時
