ヴェールの呼び出し ページ12
ハロウィンまで、あと二週間。
今日も今日とてリクルーター達は、ヴィランズの世界に人間達を招待している。
夕焼けが眩しい、本日最後のリクルーティング。
シックスポーズダンス中人間達の近くを歩いている時に、ヴェールは自身が付けているケープの裾が、ほつれていることに気づいた。二ヶ月足らずとは言え、何回も繰り返し着ているのだ。そうなっても仕方が無い。
Mr.Vが連れてきた人間を元の場所へ帰している後ろで、ヴェールはAの肩を小さく叩く。
A「……はい、ヴェール様。どうしましたか？」
いつもより遅れて反応したAが、振り返りながら少し屈む。それに首を傾げながらも、自分と目線を合わせる気遣いに満足したヴェールは、Aの耳元に手を当て、小声で話し出した。
ヴェール「ケープの裾がほつれてしまって…。直して下さる？」
A「かしこまりました。いつ頃向かいましょうか？」
ヴェール「部屋に戻ったらまた呼びますわ」
ハーデスとファージャが火花を散らしあっている横で、本人達は耳元で話し合う。
周りの人間達は、ここぞとばかりにカメラを二人を向けた。
ホテルに戻り、しばらく経ったあと。
ヴェールが銀色のベルを鳴らすと、すぐに部屋の扉がノックされた。
ヴェール「Aさん？大丈夫ですわよ」
A「はい、失礼します」
主人の返事のあと入ってきたAの手には、裁縫道具が入ったアンティーク調の小さな箱がある。
ヴェール「ごめんなさいね、疲れているのに」
A「とんでもございません、喜んでお受け致します」
申し訳なさそうにケープを渡すヴェールに、Aは安心させるように笑ってそれを受け取る。
ほつれた部分を見て、すぐに終わることをAはヴェールに伝えた。
ヴェール「ではその間、私は屋上で歌ってきますわ」
A「かしこまりました。ブランケットをお持ちしましょうか？」
ヴェール「大丈夫。すぐに戻りますわ」
自分の金色のベルを持ち、ヴェールは部屋を出た。
主人がいなくなった部屋に、Aが一人残る。
Aは小さく息を吐き、近くの椅子に座る。
主人から渡されたケープを黙々と直していく。隣の部屋のハーデス、スカーも今は部屋に居ないようで、しんと静まり返っている。
糸を切り、縫い終わったことを確認した。
ケープと針を横にあるテーブルに置く。
Aの身体が、糸が切れたように前に倒れる。
ごとり、と鈍い音が静かな部屋に響いた。
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かしおれ(プロフ) - リンネさん» リンネさん初めまして。閲覧ありがとうございます。その言葉ひとつがとても嬉しいです。お話はもう少し続くので、よければお付き合い下さいね。 (2019年1月8日 22時) (
レス) id: 8439607bfd (このIDを非表示/違反報告)
リンネ - 手下好きなので嬉しいです！凄く好きなタイプの話だったので続きが気になります！頑張って下さい (2019年1月7日 17時) (レス) id: 679ef415fd (このIDを非表示/違反報告)
まるごと林檎。 - かしおれさん» おお…！返信が来るとは…！！ありがとうございましっ！これからも見させていただきます！！ (2018年12月21日 0時) (レス) id: d45bba4278 (このIDを非表示/違反報告)
かしおれ(プロフ) - まるごと林檎。さん» まるごと林檎さん初めまして。閲覧ありがとうございます。その言葉が励みになります。もう少しお話は続くので、またよかったら見ていってくださいね。 (2018年12月20日 23時) (レス) id: 8439607bfd (このIDを非表示/違反報告)
まるごと林檎。 - 今まで見たものとは違い、全く新しいお話だったので最後まで読み進めちゃいました！これからも頑張ってください！ (2018年12月19日 14時) (レス) id: d45bba4278 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かしおれ | 作成日時：2018年12月11日 22時
