・ ページ15
京本side
俺は北斗に買い物を頼んだ後、
家から3分ちょっとのところにあるお花屋さんに言って、
お花の絵を描くことにした。
だって暇なんだもん。
適当に着たTシャツは、少し大きめの北斗のやつ。
北斗のやつ着たら大抵オシャンティーになるから、
それと良い匂いだから好きなんだ。
あと、その上に北斗とオソロのコート！
このコートは前にデパートメントで奮発したの。
俺が白色で、北斗がグレー。
あと、たまたま付き合う前からオソロのマフラー。
俺が黄色のチェックで、北斗は赤のチェック。
しばらく歩くと、桃色や黄緑色がぱっと目に入り、
お花屋さんだと検討をつけ、駆け寄る。
「お花の絵、描かせてください！」
「かまわんよ」
優しそうな茶髪の(多分白髪染めの)おばさんが、
にかぁっと笑って手招きをしてくる。
踏み台を差し出して、「これ椅子にして！」と微笑んでくれた。
﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌
「わぁ、ありがとうございます」
「まだ5時だけど、6時には帰るの？」
おばさんがふとレジの方を振り返り、黒い時計を覗く。
「まぁ、多分数十分で何枚か書き終わったら帰ります」
俺はそう言って、スケッチブックを取りだし、
オレンジ色の鉛筆を取り出す。
「ここは……こうかな」
「もうちょっと濃く描きたいなぁ……」
「……ふんわりさせたい」
「うぅ、変になっちゃった…」
「よし！」
俺はようやく描き終えると、
おばさんはこちらを見て眉を下げて笑っていた。
「こんなに長い間……」すごいわね、と言いたげに、
苦笑いをして時計を指さした。
短針は6の少し前をさしていた。
「あ！鍵閉めてないのにこんなに長い間……
北斗に怒られちゃうよぉ
ありがとうございました！ではまた！」
俺は返事も待たずに、
高級コートを汚さないよう気をつけつつも、
一生懸命遅い足を走らせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 246人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おぞーに | 作成日時：2022年6月7日 20時
