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「まぁ、パパどうしたの？」
そう聞くと、「ごめんよ北子」と言って洗面所に駆け込んだ。
そして、口に歯ブラシを突っ込みつつ、次はトイレに駆け込んだ。
「仕事で急用ができてなぁ」
もごもごとした声だったが、北子にはそう聞こえた。
「青天の霹靂ねぇ。がんばれぇ！」北子はそう言って、
母の元へ向かった。
「ママ、おはよう」
「あらしじみちゃん、おはよ」
母は優雅にコーヒーを嗜んでいた。
小柄で可愛らしいその身体を黄色いソファに沈め、
ちょこんと足を組んでいた。
「もう、お父さん慌しいのなんのったらぁ」
母がくすくす笑いつつ、ため息をつく。
──ママ、手伝ってあげればいいのにぃ
いつもそんなふうに北子は思っていたが、
寸劇を見ているようで、何だか可笑しいので放っておこう。
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作者名：おぞーに | 作成日時：2022年6月7日 20時
