Fairy Tale 【avntis】 (ページ10)

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ep10/エイジside ページ10

廊下で重そうなダンボール箱を持って、ふらつきながら歩くAを見た俺は、代わりに運んでやろうと咄嗟に走り出した。

ここで走らなかったらもっと大変なことになっていただろう。とりあえず無事で何よりだ。

保健室にはセンセイが居なかったから俺が見守っていた。

幸せそうにすやすやと眠るその寝顔はとても愛らしくて、ずっと見ていられる程だった。

いつからだろう、俺はAのことを好きになっていた。

周りの女子とは違う雰囲気を醸し出す彼女に惹かれ、初めは仲の良い友達だったものの、

話していくにつれて彼女の良さにどんどん気付かされた。

さりげなくみせる笑顔が素敵で、
冗談交じりの会話も楽しい。

何より話が尽きないし、何故か一緒にいると元気が出てくる気がする。

でも、無理しすぎてしまうAが心配で心配でしょうがなかった。

だから放っておけないのだ。

そんなことをぼんやりと思っていると、彼女がゆっくりと目を覚ました。

出来事を簡単に話すと、Aが「ありがとう」と素直に言うから、つい頬が紅くなった気がして向こうを向いてしまった。

二人きりの空間に沈黙が訪れる。

その時、ふと思った。

今。今しかない。あの事を言うんだ。

柄にもなくずっとずっと考えてた。文化祭でAと花火を見たい。

そう思った途端不意に口に出ていた。

その想いを告げたら、Aは声をうわずらせながらも了承してくれた。

Aも動揺してるよなぁと思いつつOKしてくれたから、

心中は飛び跳ねる程嬉しかったけど、そんなカッコ悪い姿見せたくなくて、余裕そうに振舞った。

その瞬間そらが保健室に来た。

そらが来る前に話しておけてラッキーだった。

このこと知ったらそらもついてきそうだし。申し訳ないけど2人で行きたいんだ。

この日から文化祭が楽しみで待ちきれないイベントになった。