Fairy Tale 【avntis】 (ページ6)

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ep6 ページ6

エ「おはよ」

「おはよ！エイジくん！」

エ「お前頭に毛虫乗ってるよ」

「え！？とってえ……」

エ「はい」

と言って私の頭を撫でる振りをして、握った手から出てきたのはキャンディだった。

「もう！！毛虫じゃないじゃん！ビックリした…
って、キャンディ？」

エ「ごめんごめん(笑)

飴ちゃんあげるから許して、ね？」

可愛いことするなあ、なんて思いつつありがとうと言い、「飴ちゃん」を受け取った。

そんな他愛も無い朝の出来事一つ一つが楽しかったりして。

そ「おはよ、A、えいちゃん」

「おはよそら！」

エ「おは～」

気付けばそらとも呼び捨てで呼び合う仲にまで発展した。

席が近いこともあり、すぐに仲良くなれた。

そ「あれ、Aカバンに毛虫ついてるよ？」

「また、そらまで～もう騙されないからね」

そ「は？何言ってんのか分かんないけど、ほらこれ」

「ヤダ！見せないで！！」

そうやって見せてきた手のひらの上の物体はあまりに気持ち悪くて、ついエイジくんにしがみついてしまった。

咄嗟に握ってくれたエイジくんの大きな手で、一瞬にして温もりに包まれた。

そ「ふふっ、可愛い奴め」

「なんか言った？」

そ「なんでもなーい、はいもういないよ」

結局そらはなんと言ったのか分からなかった。

でも、悪戯心はあるものの根は優しいのだとしみじみ思う。

その後エイジくんは黙って手を離し、

ちょっぴりはにかみながら
「もう大丈夫だよ」
とそらに聞こえないように耳元で囁いた。

この時から運命は狂い始めていたのかもしれない。

結論から言うと、3人は仲の良い「友達」で高校3年間を終えることは無かった。