Fairy Tale 【avntis】 (ページ4)

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ep4/エイジside ページ4

【エイジside】

遂に始まった高校生活。

だけどあんまり変わった感じはしなくて、

それは中学の時から仲良かったそらがいるから。

しかも同じクラスなんてほんとツイてる。

中学の頃からそらとつるむ度周りに人だかりが出来る感覚はあったんだけど、

高校でもそれは変わらなくて。

周りのみんなも楽しそうだからこの空間が好きなんだけど、

初日から俺らの雰囲気に馴染めないのか

輪に入らず1人で静かに本を読んでいる女子が視界の隅に入ってきて、

何だか心がざわついたのを覚えている。

その後も同様だった。

女子に話しかけられることは決して少なくなかったが、

それはただ1人、彼女を除いての話だった。

何故か彼女が真新しい存在、いや他の女子とは違う異質な存在に感じとられた。

と、ぼんやり思っていると、気付けば席替えが始まっていた。

結果は最高だった。

そ「えいちゃん！近い！よっしゃー！」

と嬉しさをあらわにするそらちぃを適当に促すと、

隣があの彼女だということにひっそりと喜びを噛みしめた。

『彼女はいったいどういう人なんだろう』

そんな想いを胸に、ワクワクな高校生活が始まる予感がした。

しかし、初日は彼女と話せずじまいだった。

話しかけようとするも躊躇ってしまったのだ。

俺とは裏腹に自然に話しかけていたそらは本当に凄いと思う。

俺には無い能力を持っていて、羨ましいと思うことも少なくなかった。

そんな初日も過ぎたとある日のこと。

怖い先生の課した宿題の締切が今日のことに、学校に来て気が付いた。

慌てて誰かに借りようとした俺は咄嗟に彼女に話しかけてしまった。

これが彼女との出会い。

彼女は急に話しかけられたからか少し動揺していたが、すぐに宿題を見せてくれた。

優しさをありがたく受け取り、すぐに写そうと思ったその時

彼女の方から話を続けてくれたのだ。

「あの、お名前は？私Aっていいます」

咄嗟に出た俺の返しは最悪だった。

つい口が悪くなってしまったのだ。

初対面にしてやらかした、もうダメだ、終わりだ

……とネガティブなことばかり浮かぶ中、彼女の返しは予想外だった。

「ふふっ、エイジくんかよろしくね」

彼女はとっても優しいんだろうと思う。

気持ちとは裏腹に出てくる言葉は素っ気ないものだったが、内心はとても嬉しかったのだ。