Fairy Tale 【avntis】 (ページ3)

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ep3 ページ3

そ「俺、空。よろしくね！」

私の前の席にすわった片割れの人は空と言うらしい。

急に話かけられて少しびっくりして、

「よろしくね」

なんて作り笑った様な笑顔で返す。

空くんは不思議そうな顔をしたが、

すぐに元に戻って

そ「名前は？」

と聞いてきた。

このまま会話が続くなんて思っていなかった私は、

「えっ、あっ、Aです」

と咄嗟に敬語が出てしまった。

そ「いい名前だね！敬語じゃなくていいよ(笑)

よろしくねー」

なんてサラッと言うから

助かった、と心の奥で感謝しつつ

フレンドリーで誰にでも優しいから、
モテモテで王子様タイプなんだろうなあと勝手に予想をした。

その後特に誰と会話を交わすなども無く、いつも通り朱里と帰途を共にした。

そんな初日で始まった高校生活も慣れ始めた頃

貴方と初めて言葉を交わしたのはひょんなことからだった。

？「あの…宿題見せてくれない？」

ありきたりすぎる言葉。

でも、人気者の貴方なら他に宿題を見せてくれる人なんて沢山居るだろうに、

どうして私に声をかけたのだろう？

と思ったものの、躊躇い無く宿題を差し出した。

？「ありがとう」

とくしゃっと微笑んだ時に見せる笑顔が素敵で、

こんな風に笑うんだと興味が湧いたのか、つい

「あの、お名前は？私は A って言います」

と尋ねていた。すると、

エ「名前？エイジだけど。ていうか、敬語やめてくんない？ウザイから」

と思いもよらない返事が来て、

あの時は絶対に萎縮していいはずなのに何故か

「ふふっ、エイジくんか
よろしくね」

なんて答えたりして。

エ「何笑ってんの？」

「なんでもなーい！」

きっと、今までに出会ったことのないタイプの人で興味が湧いたんだと思う。

それから私たちは

この件をきっかけにして仲良くなっていった。