ep13/エイジside ページ14
エ「うわ明日数学のテストじゃん、やばい何もしてない」
何気なく呟いた一言にすぐさま反応してくるA。
「もう〜えいちゃんったら今まで何してたの？」
エ「サッカーと…サッカーしかしてない」
「頑張ってるの見てきたけど、勉強は別！単位だけは落とさないでよね」
エ「分かってるよ」
エ「ん？何これ」
『まとめノート』と書かれた1冊のノートが目に映る。
「あっ、」
そのノートを手に取り開くと、丁寧にまとめられた数学の公式が記されていた。
そこには、〇〇がポイント！△△に気をつけて！等のコメントがオリジナルキャラクターと共に書き添えられていて、とてもわかり易かった。
バカな俺でもすんなり分かるくらい。
エ「すげぇ…」
つい本音が漏れてしまっていた。
我を忘れてノートに気を向けていたところ、
「それ貸してあげる」
とAは恥ずかしそうに告げた。
そんなに照れた顔を向けられると、俺のために作ってくれたのかななんて勘違いしてしまいそうになる。
エ「え！？いいの？」
「うん、それで頑張ってよ」
エ「サンキュ」
正直とても助かった。
キャラクターが可愛くてアドバイスも見る気が湧いた。
一通り勉強し終わってノートを返した。
明日は絶対大丈夫だ、なんてるんるんでいたけど気分の高揚はすぐに収まってしまった。しかも理由がAだなんて。
今日は良い日なのか悪い日なのか分かんねえよ。
それはこんな1件を目にしたからだ。
「はい、どうぞ」
そ「マジでありがとう、めちゃくちゃ助かる！」
手渡されたそらの手にあるのはあのノート。
そう、あれはAが『そら』のために作ってやったノートだった。
俺なんかの為に作る訳がなかった。
彼女への片思いは無残に散った。
彼女の想い人はアイツなのか。
そう知ると、重い荷物を背負わされたかのような暗い気持ちは多少楽になった。
アイツならいいかな、なんて思えた自分も少しだけ垣間見えた。
もし彼女がアイツのことを本気で好きなら俺は応援しよう
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作者名：ゆずゆ | 作成日時：2019年4月28日 22時
