Fairy Tale 【avntis】 (ページ11)

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ep11/そらちぃside ページ11

女「ねえ、そらくん？聞いてるの？ねえ」

甘ったるい声で話しかけてくる俺の彼女。

ふと一目惚れして告白した時を思い出した。

OKしてくれて嬉しかったなあ…あの時は。

周りの冷やかしさえも嬉しいと思えるくらいに幸せだったと思う。

でも今はどうだろうか。自分に問いかけてみる。

もう、答えは出ていたんだ。

気付かないふりをしていた。

彼女への恋愛感情は一時のものだった。

そう長くは続かないなんて、未熟な俺には想像もつかなかった。

彼女の声をかき消す様に

「ごめん」

と一言だけ言ってその場を去った。

俺の名前を呼びながら追いかけてくる彼女を振り切ってAの所へ向かう。

俺はAが好きだ。

これは一時なんかの感情じゃない。

なんで早く気づけなかったんだろう。

1人の女の子を傷つけてしまう前に気付けば良かった。今更後悔しても遅い。

それとは裏腹に行動は今の気持ちを十分すぎるほどに表していて、もう保健室の前に着いてしまった。

今はただ、会いたくて。君の元へ来た。

保健室のドアを開けようとしたその時、聞き覚えのある慣れ親しんだ笑い声が耳を貫く。

えいちゃんが居るんだ

動揺したのか、2人に会った瞬間えいちゃんに気づかなかったふりをしてしまった。

別に

えいちゃん「も」Aのことが好き

だなんて考えてなかった。

全くと言ったら嘘になるけど。

あくまで可能性の話だし、まあ無いだろうなんて心のどこかで安心していた自分がいた。

それより、元気そうなAを見てほっと気が緩むのが分かった。

「そら、何ニヤついてんの？」

笑みが顔に出ていたらしい。

そ「別に？」

エ「うそ。ニヤニヤしてるの自分でわかんないの？」

そ「ちょ、えいちゃんまで！？」

「ほ～ら～、やっぱりニヤついてるよ！」

そ「ニヤついてません！」

「ニヤついてます！」

一対一の会話が続くだけでもくだらないからこそ楽しかった。

こんな楽しい日々が毎日続けばなあ…