Melty sweet honey sugar.【YG】 (ページ24)

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「私、帰る」

いたたまれなくなって、先生の顔を見ることもできず逃げるようにリビングを出た。

YG「おい、待て！A！」

一拍置いて背後から焦ったような先生の声がしたけれど、構わず早足で廊下を進む。
けれど玄関の手前で、追いかけてきた先生に力強く腕を引かれて動けなくなってしまった。

YG「分かったよ、本当にどこも悪くないなら診察はしない。だからここにいてくれ。…頼むから」

たまらず振り向くと、珍しく余裕のない表情で私をじっと見つめている先生。
その声はまるで小さい子どもと話しているみたいに優しくて、余計に胸が痛む。
勝手にしろって、突き放してくれたほうがずっと楽なのに。

YG「食事にするか。お前も疲れてただろうに、用意してくれてありがとな」

「…うん」

さっきまでより幾分明るい声でそう言った先生に肩を抱かれてテーブルについても、とてもじゃないけれど食欲なんて湧いてこない。

YG「…もう食べないのか？」

「うん、もうお腹いっぱい。…今日は早めに寝ようかな」

YG「そうか…」

いつもの半分の量も食べられずに箸を置いた私を見て先生はまた少し顔を曇らせたけれど、それ以上はなにも言わなかった。

気持ちが沈んでしまったせいなのか、なんだか身体がものすごくだるい。
片付けは俺がするからと言ってくれた先生に甘えて、自分の分の食器をシンクにつけて歯を磨いたあとすぐに寝室へ向かった。

話したいこと、たくさんあったのにな。
少しぼーっとする頭でそんなことを考えて、また悲しくなってしまう。

けれどベッドに入るとみるみるうちに眠気が襲ってきて、私はあっという間に眠りに落ちてしまった。