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YG「A、お前具合悪いんだろ。顔が真っ青だ」
「…え?」
先生はそう言って、私の頬や首に手を当てて顔を覗き込んでくる。
YG「熱は…ないみたいだけど。どっか辛いところは?」
「…ううん、大丈夫」
YG「本当か?」
玄関で目眩を起こしたことを正直に話すべきか、一瞬だけ迷って首を横に振った。
全然納得してくれていない様子の先生は、ますます私に顔を近付けて眉を顰める。
YG「ちょっとこっち来い。ちゃんと診たいから、ソファーに座って」
「えっ、いいよ先生、大丈夫だから!」
早足でリビングへ向かう先生の後を慌てて追うけれど、私の声なんてまるで聞こえてないみたいにソファーの前まで行って膝をつくと、持っていたドクターズバッグを広げててきぱきと診察の準備を始めてしまった。
YG「ほら、ここ座れるか?辛かったら横になってもいいから」
「…診察は嫌」
YG「なんで?」
「…」
YG「A、黙ってちゃ分からない」
これでもし、病院に行かないといけないなんてことになったら。
やっと2人でゆっくり過ごせると思ったのに、それだけはどうしても避けたかった。
けれど、そんなワガママが通用する訳がない。
そう思うと口にすることなんてできなくて、私はただ黙って首を横に振り続けた。
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作者名:yuzu | 作成日時:2022年6月5日 21時