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翌朝、ユンギ先生はいつもより早めに起きると、約束通り私を外へ連れ出してくれた。
都心から少し田舎のほうへ向かって車を走らせて、辿り着いたのは水族館。



大学の行き帰り以外で、2人でどこかへ出かけるのは久しぶり。
はしゃぐ私を見て先生は少し呆れていたけれど、館内を歩いているペンギンを見つけると満更でもなさそうに目を細めていた。



「今日はすっごく楽しかった!ユンギ先生、ありがとう」



帰りの車の中で、お土産売り場で買ってもらったペンギンのぬいぐるみを掲げて見せながら言うと、先生は満足げに口の端を釣り上げる。



YG「そりゃよかった。まぁ、目的地にはまだ着いてないけどな」



「えっ?水族館は?」



YG「おまけみたいなもんだよ。本当に連れて行きたかったところはこれから」



信号が赤になると、突然先生は羽織っていたシャツを脱いで、視界を覆うように私の頭から被せた。



「なっ、なに?」



YG「目隠し。俺がいいって言うまで取るなよ?」



「わかった…」



私は頷いて、大人しく車に揺られる。
しばらくすると、窓から流れ込んでくる空気が少し冷たくなった。
それにわずかに鼻腔をくすぐる潮風の匂い。



「ねぇ先生、もしかして…」



YG「なんだ、もう気付いたのか。ちょうど着いたとこだから、もう見ていいぞ」



車が止まって、私はおそるおそる顔にかかっているシャツを捲った。



「うわぁ…」



目を開くと、窓の外一面に広がっている青。



YG「海、来たいって言ってただろ」



先生はそう言って、どこか遠くへと視線を向けながら微笑む。
その横顔を見つめながら、私はまだ先生と出会って間もない頃のことを思い出していた。

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作者名:yuzu | 作成日時:2022年6月5日 21時

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