リレーションシップ ページ5
｢えぇ!?剰斬さんって西日本出身なの!?｣
食堂の喧騒にかき消される声
今日は何だかんだで親睦を深めたもさもさの少年――緑谷出久と、彼の友人らしい女子――麗日お茶子とともに、ランチラッシュが腕を振るってくれる食堂に来ている
お茶子ちゃんはフワフワ天使だ
可愛い
｢何を驚いてるんです?お茶子ちゃんだって関西出身でしょうに｣
ね？と隣の彼女を見れば、｢なんで!?｣と此方も驚いた様子
いや、何でと言われても…
｢お茶子ちゃんは時々イントネーションが違うので、そうかなと｣
｢……すっご…｣
何が凄いのかわからないけれど、お茶子ちゃんの誉め言葉だ
有難く受け取っておこう
｢山って言ってたし、てっきり群馬あたりかと思ってたよ｣
｢違うんですねぇ、それが。西日本なのです｣
口に含んだデミグラスソースのオムライスを、目を閉じてじっくりと味わう
ソースが深い
卵がとろっとろ
小さく刻まれた鶏肉の香ばしさと野菜の甘み
うん、文句なく美味しい
｢でもどうして、雄英に？士傑だって雄英と肩を並べる難関なのに｣
あぁ、そんなこと
｢それを聞くならお茶子ちゃんもじゃないですか?｣
｢ぅえっ!?私!?｣
だって彼女も西日本出身だけど東の雄英に来てるじゃん
｢わ、私は…え〜…｣
あわあわと困ったように両手を動かすお茶子ちゃん
可愛い
｢人間誰しも言いたい事言い難い事あります｣
ぱちんと両手を合わせてごちそうさまを言う
礼儀って大事
｢お茶子ちゃんが言い難いなら、無理に言わなくて大丈夫ですよ｣
にこりと笑いかけると、赤くなってしまった
うそ、私の友達可愛すぎ…!?
｢言いたくなったら教えてくださいね！｣
｢うん！そん時は一番にAちゃんに言うね！｣
はい、二人の世界完成
置いてけぼりの緑谷くん
正直すまんと思っている
｢で、私の志望理由でしたね｣
と話題を戻せば、安心したように｢あ、うんっ｣とほほ笑む
可愛い…だと!?
今更だが私は表情が変わらない
無表情ではなく、常に笑顔なのだ
よってこんなアホな思考はバレない
｢自己紹介でも申しました通り、人脈ですっ！中学までに西日本で沢山知り合いを作り、高校からは東日本で沢山知り合いを作りたいのです。人の縁というのは何物にも代えがたいですから｣
私の第一目標
人脈拡大
これは絶対揺らぎません！
続く
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