ゆるふわ毛玉本丸の日常 (ページ4)

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へし切長谷部の裏話ページ4

｢陸奥守、ちょっといいか｣

毛玉と粟田口が仲良く眠っているのを確認した長谷部は、足音を忍ばせ陸奥守のもとへ

｢なんじゃ、またかえ長谷部？｣

陸奥守は驚かない

寧ろ、そろそろ来る頃だろうと予測していたようだ

｢今日は酔〇を持ってきた｣

｢おっ、えいにゃあ！｣

地元・土佐の地酒を前に、陸奥守の瞳が輝く

｢ほいたら、これなんかどうで？｣

酒と引き換えに差し出されたのは、毛玉の写真である

おはようからおやすみまで陸奥守が毎日撮っている写真の中の、選りすぐった毛玉写真

勿論それ以外にも撮ってはいるものの、毛玉セコム揃いの本丸だ

圧倒的に毛玉の写真が多いのは言うまでもない

｢ふむ……｣

顎に手を当て考え込む長谷部

床に並べられた全てを手にすることは不可能だとわかっているため、これだ！と思う数枚を厳選せねばならない

この作業にいつも時間がかかるのだ

どの主も素晴らしい映りだというのに、この中から選ぶなど……！

と、長谷部は毎回頭を抱える

しかし陸奥守の適応力の高さよ

既に〇鯨を煽って上機嫌になっている

長谷部の手は数ある写真の上空をうろうろ彷徨い、手に取ろうとしては思い止まって離れる

｢またやってるのかい？｣

音も立てず入ってきたのは、

｢燭台切！｣

しぃー、そう言って人差し指を口元へ運ぶ燭台切

｢主が起きてしまうよ｣

味覚を除いた四感の優れた毛玉である

耳など無い癖に地獄耳の毛玉である

｢あぁ、悪い｣

驚いて声を荒らげてしまった己の軽率さを反省する長谷部

｢これ、バラバラに並べてあるから選びにくいんじゃないかな｣

言うや否や、燭台切は写真を分類毎に並べ直し始めた

毛玉だけが写っている写真、誰かと写っている写真、遊んでいる写真、おやつを食べている写真etc.

｢燭台切ぃ～、おんしも欲しいがやろぉ？｣

にひひ、顔の赤い陸奥守が笑う

｢あ、バレた？｣

肩を竦める燭台切もまた、毛玉セコム改め毛玉ガチ勢の一人である

｢決めた、俺はこれらにしよう｣

出撃時よりも真面目な顔つきの長谷部が陸奥守と向き合う

その手には悩みに悩んだ５枚の写真

長谷部と写っているものや幸せそうに甘味を頬張るものなど、選び抜かれた至高の５枚だ

陸奥守は満足気に頷いた

｢僕はこれとこれと……｣

一方燭台切は然して迷うことなく選び始める

池に落っこちてずぶ濡れのもの、燭台切と共にお菓子作りに励むものなど、表情豊かな毛玉写真が選ばれていく