ネタ収集所

メモ ページ37

私のすべてを貴方に託しましょう
貴方がこの世界を望まないのなら、私もついて逝きましょう
どうか、どうか置いていかないで
貴方に掬われたこの命は、貴方の為にしか使えない
転げ落ちる私を拾い上げたのは、他でもない貴方自身
歩幅が違っても、泥だらけでも、貴方と同じ道を歩みたいと
そう願うことを許してはくれないのでしょうか



あぁ駄目だ、と思った
メッキのように取り繕っていた感情はどろりと重たく融け落ちて
醜く濁ったヘドロのようなものが首を擡げる
それは酷く鈍重で、悪臭を放つただの感情
今まで張り付けていた表向きの感情ではなく、もっと内側の
憎悪、嫌悪、そういうものに覆われた疑問
どうして、いつも悪人が笑うのだろう
どうして、いつも善人に皺寄せがいくのだろう
だから嫌った
すべて呪った
心の深い深い闇の中で、しかしソイツは暴れてくれなかった
叫んでしまいたいのに
壁を殴りつけてしまいたいのに
椅子も机もひっくり返してしまいたいのに
ソイツはただ蠢くだけで、激しい感情ではなかったから
恥も外聞もなく叫ぶだとか
公共の場で壁を殴りつけるだとか
ましてや椅子や机をひっくり返して壊すだとか
そういうことは出来なかった
良心の呵責でも何でもない
激情というエネルギーが不足指定だけで、ただ蹲る自分の
なんて、なんて弱い姿
小さい背中
賢くもない頭でぐるぐると纏まらない思考を張り巡らせて
絡まる糸を解くこともできないまま
ただただ落ち込むだけの自分しかいなかった

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