キスしちゃおっか。【センラ】 (ページ8)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:9,268 hit

7 ページ8

｢ふふっ、せんちゃん大好き～！｣

せんちゃん、なんて今思えば恥ずかしい呼び方だけど、君が笑顔でせんちゃん、って呼んでくれるの嬉しかったんだ、君が大好き、なんて僕に飛びついてきてほっぺにキスまでしてきて、どこでそんなこと覚えたの？

｢大きくなったら結婚しよ？｣

小学生に上がっても君は僕に好きだ、なんて言ってくれた。結婚しよ？約束。って指切りげんまんしたね、けど君は約束放棄して僕の記憶にいる君は消えてしまった。勝手にいなくなんないでよ、なんで、なんで忘れちゃったの。

｢せんちゃん見て！中学の制服！かわいいって？ふふ嬉しいなぁ、｣

セーラー服のスカートの裾を持ってお嬢様みたいに歩いてみせる君、長年伸ばした長い髪がなびき君のいい匂いが僕の鼻に飛んでくる。僕が長い髪が好きだ。と言ってから君は伸ばし続けてたね、嬉しかったなぁ。

｢今日雨か～、デートはまた今度だね…？｣

平気なフリして笑って僕に問かける、なんで、我慢するの、僕がやだ、行こ？って傘させば嬉しそうに君も傘をさしたよね、今でもちゃんと覚えてるよ。

行かなけりゃよかったんだ、デートなんていつでも出来た、今日はやめとこうか。って、
僕が、俺が、連れていかなければ、こんなことにならへんかったんや、

お昼を食べて、適当にぶらぶらと歩いてた、気になった店があったら入ろうか。って話して、
いい所がないかスマホで調べながら道路をわたった。
君に喜んでほしいと思ってオシャレなお店を夢中で探してた、
握ってた小さな手が僕の手の中からいなくなったのに気づけなかった、あと1秒でも早く気づいてれば良かった。

振り返れば君が車に轢かれそうになってる子供を助けようと手を伸ばしてた、僕も必死で、最低かもしれないけど、君の命の方が大切なんだ僕は、まだ死んで欲しくないんだ、
あともうちょっとの所で君の手に届かなかった、君は目の前でトラックに轢かれた、
やだ、ねぇ、って話しかけても君からの返事はかえってこない。
君の周りには血が流れて、君がかばった子供はニコニコと笑って君の胸の中にいた、

せ｢最後まで、優しすぎるよ、ねぇ、、返事してよ！A！｣

＿＿＿＿＿＿＿＿＿

センラside
チャイムの音で眠から覚める。
目元を触ると指が軽く濡れる。
喉が渇いたので鞄から水を取り出そうと立ち上がるが足元がフラフラして上手く歩けない、
だんだん視界が暗くなって行くのがわかる。あぁ、またか。と俺はそこで意識を手放した。