三つ編みの秘密【河井ゆずる】

泣き止んで ページ24

Aside




河「俺だけじゃなくて、今日サイン会に行った人全員思っとるやろし、それ以外の人もたくさん思っとるはずやで」

『…河井さん…』

河井さんはすごく澄んだ目で私を見る

この人は…嘘言ってない



河「やから、恥じることなんかなんもないで。もっと自分の才能に誇りを持つべきや」

『…ありがとうございます』


　
　
　
　
　







　
　
　



　

　









　
　
　




河井side


…やばい


『…ありがとうございます』


Aちゃん引いとる…？！

俺語りすぎたっ？！？



「あ、ご、ごめん！俺色々言い過ぎたっ？」

『そんことないです！ほんまに…嬉しくて…っ……』

Aちゃんの大きな瞳から、涙がつーっと頬をすべる


『すいませ…っ、ほんま…』

「…っ…」

好きな女の子が目の前で泣いとって、俺はこのまま見とくだけか？

そんなん…



俺にはできひん






「…ほら、泣き止んで？」

Aちゃんの頬に触れる

『…は、はぃぃ…』

Aちゃんの顔を上に向けると、まだ大きな瞳からボロボロと涙がこぼれてくる


「泣き止んでって言っとるのに、余計泣いてどうするんよ笑」

『…ごめ…な、さい…』

両手で涙を拭ってあげると、涙が出ないようにか、目と口に力を入れとるように見える

「…変な顔」

嘘

…頬が染まって、目に涙ためて

ほんまはめっちゃ可愛い




『…泣くの…我慢してて……』

「…うん」

瞬きしてこぼれ落ちる涙を指で拭う

「…Aちゃん」

『…はい』

「…俺」

ガチャガチャガチャガチャッッ




「『っ？！』」

楽屋のドアを開けようとする音

「すいませーん、誰かいますかー？」

『は、はいっ！』

Aちゃんが涙を拭いてドアに向かう


『…すみません、鍵してて』

「あー、いやいや俺も…えっ？！」

『えっ、あっ、にーやんさんっ？！？』

…なんで、なんで新山やねん

タイミング悪すぎやろ


新「Aさんと…ゆずるさん…？」

不思議そうに俺らを見る

『これは、その…』

言い訳に困っとるAちゃん

いや、うん、俺も正直うまい言い訳見つからんけど…


「その…俺が残ってって言ったんや」

新「…ゆずるさんが？」

「そう！ちょっと話したいことあって…なっ？」

『はい！』

新「…話したいこと…？」

「うん…まぁ…次のバツウケの収録について…とか」

ふーん、と怪しそうに俺らを見る

否定しないAちゃんを見て、新山は一瞬だけ傷ついたような顔をした

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