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宝*127 ページ7

決して声を漏らすな。そう念を押された私は、
聞き覚えのある声の人が運転する車の後部座席でウトウトとしていた。
車の揺れが心地良く、無言の中で眠くならないわけもなかった。



「ら、来葉峠?
 赤井さんが奴らに殺された場所に、今から行くんですか?」

「ええ。行けば何かつかめる気がするのよ……」


ああ。思い出した。この声はジョディ先生とキャメルさんだ。
赤井さんの同僚ということになるのだろうか。


「……?」

「……」


頭を付き合わせた状態でいる赤井さんが、口パクで何か言っている。
暗いしよく見えない。首を傾げれば、彼は耳元に口を寄せて、小さすぎるほど小さな声で言う。


「眠っていろ。それにあいつらが話すことは、なるべく聞かせたくない」

「っ……」


私の頭の位置に、腕を出してきた赤井さん。
けれど私はそれよりも、耳元で囁かれたその感覚にゾワリと背を粟立たせていた。

ジョディ先生やキャメルさんがなにやら難しいことを話している。
携帯がどうの。指紋がどうの。



動かない私に赤井さんは、そっと自身の腕に私の頭を乗せてゆっくりと撫でた。
寝かしつけようとでもしているのだろうか。
それほど聞かれたくないことなのか、それとも私が知らなくていい内容なのかはわからないけれど、
反対側からだと撫で辛いはずなのに彼は優しい表情で、ゆっくりと私の頭を撫でた。


「……」


横になっている状態の、心地良い車の揺れ。
再びウトウトとしてきたとき、突然にジョディ先生が「コーティング!!」と叫び、
私の眠気はどこかへと飛んでいく。


「…………」

仕方ないかという表情を浮かべた赤井さんは、私のサイドの髪をかき上げると、
耳の中に何かを突っ込む。耳栓のようで、周りの音は一切聞こえなくなった。


「…………」

ふっと笑った赤井さんは、口元に人差し指をたててしーっのポーズをとった。
その直後にいきなりスピードを上げた車に揺られて、
私は赤井さんの厚く逞しい胸板に、赤井さんは私の胸に、それぞれ顔を突っ込ませて、
赤井さんはともかく、私はとても気まずくなったのだけれど。

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設定タグ:名探偵コナン , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:アニメ
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作者名: | 作成日時:2018年5月23日 22時

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