宝*132 ページ12
翌日。私はお昼ご飯を食べ終わると、優依くんと共にスーパーマーケットへと来ていた。
もちろん佐々木さんの運転で、だったけれど。
「あ、と、はー……たまねぎだよ!おねーちゃん!」
「え!?あ、うん、そうだね」
ぐいっと手を引かれて、ぼうっとしていた私は現実に引き戻される。
慌てて返したその言葉はけれど、幼い子といえど通用しなかった。
「おねーちゃんあさからおかしいよ?
きのうもぼくがねるとき、いっしょにねなかったし」
「うん、ごめんね。昨日は少し用事があったの」
訝しむように眉を寄せ、首を傾げている優依くん。
私は彼の目線に合わせてしゃがみこむと、何でもないよとその頭を撫でた。
―――「まあ、彼はすぐ君に話すだろう。そこまで知ったんだからな」
「…………」
昨日、別れ際に赤井さんはそう言った。
けれど安室さんからの連絡はないままで、代わりに昴くんから今朝方に一件のメッセージが入った。
ただ一言、大丈夫でしたかと。
「おねーちゃん、やっぱりおねつ?」
「あっ、ううんそんなことないよ!
お姉ちゃん元気いっぱいだからね。一緒にハンバーグ作ろう!」
「ほんとう?」
「うん、ほんと!」
そう言えば優依くんはぱあっと笑みを見せて、はやくレジに行こうと私を急かす。
ハンバーグの形を一生懸命に考えては楽しそうに語ってくる優依くんが可愛くて、
微笑ましくてクスリと笑うと、笑った!と優依くんは言う。
「……うん、優依くんのおかげだよ」
繋いだ手に力を込めて、佐々木さんの待つ車へと戻った。
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作者名:謙 | 作成日時:2018年5月23日 22時