宝*38 ページ38
今度は4人揃ってリビングへと行き、先程安室さんと見たテレビの録画を見る。
安室さんは己の推理を披露し、もう少し部屋を調べようと私の肩を抱きリビングを出ようとする。
そのとき、蘭さんが「あのぉ……」とおずおずと話しかけてきて、
ちらりと私のほうを見てから、けれど安室さんが私の肩を離す気配がないことから話し始めた。
「どうしてそんなに切れる探偵なのに、父の弟子なんですか?」
「あ……」
「どう見てもあなたのほうが……」
確かに。少し考えてはいた。
先程から安室さんは探偵っぽい言動が多いけれど、
毛利名探偵は言うほどそんなに動いていないように思う。
それに彼は、安室さんに質問してばかりで、何もわかっていなさそうだ。
疑問を表情に表したまま安室さんを見つめる蘭さん。
安室さんはそんな蘭さんと私の顔を交互に見ると、ふっと笑みを浮かべて言った。
「毛利先生はああやって悩んでいるフリをされていますが、
実はもうほぼ真相を見抜いておられて、僕を試してらっしゃるんですよ」
「……そんな風にはあんまり見えない」
「貴方は知りませんが、この前DNA事件を僕が解決しようとしたとき、
その推理を毛利先生が根底から覆し、見事真相を暴かれたんですよ」
まあ毛利名探偵はメディアでも多く取り上げられているし、
その実力はきっと本物なのだろうけれど、
それでもなんだか安室さんのほうがすごい人に思えるのも事実。
けれど安室さんだって探偵だし、
やっぱり彼の言う通り、毛利名探偵は安室さんを試しているのだろうか。
「僕なんてまだまだです……」
と言いながら蘭さんに背を向けた安室さん。
ふと振り返ると、蘭さんは腑に落ちなさそうに安室さんを見ていたけれど、
それ以上何かを聞いてくることはなかった。
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作者名:謙 | 作成日時:2018年4月10日 0時