宝＊37 ページ37
リビングでテレビをつけた安室さんは、録画欄をチェックし始めた。
そこにはニュースしか入っておらず、それも先日起きたという銀行強盗のものばかり。
「この事件が気になってたってこと？」
「さあ……詳しいことはわかりませんが、注目していたのは間違いなさそうです」
それだけ言うとテレビを消し、今度は毛利名探偵のところへ戻ろうと言った安室さん。
戻ると、彼は部屋の窓を開けて、警察に連絡しようと蘭さんと共に話しているところだった。
警察に連絡すればコナン君の命は危ないんじゃないの？
そう言おうとした唇は安室さんによって動くことなく終わり、
代わりに彼が「それより妙ですよ、この部屋」と彼らの会話に加わった。
「妙って……一体何が？」
「下駄箱には男物の靴しか入ってませんし……」
あれ。じゃあ下の段だけはなくて、上もお兄さんのものだったのか。
それじゃあ樫塚さんの靴はどこにしまってあるのだろう。
そう考える私を置いて、彼は話を進めていく。
「洗濯物の中もクローゼットの中も、衣類は全て男物ばかり。
シャンプーもメンズ物しか置いてませんでしたし」
「……」
やっぱり彼だけで調べたほうが早く、正確だったのではないだろうか。
私は別に何を気にするわけでもなく、そのまま見ていただけだったのだから。
彼が私に何かを期待していたとはとても思えないし、
事実、私は樫塚さんがメンズ物のシャンプーを好んでいるのだろうだとか、
お兄さんとは別の場所にしまってあるのだろうとか、はたまた共有なのかとか、
そんな程度にしか考えておらず、あくまでも兄妹の同居が前提だった。
「じゃあ、ここに住んでたのは圭さんの亡くなった兄だけだったってことか？」
そう言った毛利名探偵と、なにやら眉を寄せた蘭さん。
安室さんは「それはわかりませんが」と言い、毛利名探偵と蘭さんをリビングへと案内した。
「この部屋の住人が、先日起こったある事件にかなり注目していたのは確かですね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1180人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：謙 | 作成日時：2018年4月10日 0時
