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宝*36 ページ36

部屋を調べる、とまず最初に来たのは洗面室だった。
浴室の中を少し見てみるよう言われた私は、別に不思議のないように思えるそこを見渡す。

安室さんはその背後で洗濯機の中に溜まった洗濯物を調べていた。


「……トリートメント、切らしてるのかな」

シャンプーのボトルが一本と、固形石鹸しかないボトル台。
あとは浴室洗剤とスポンジが別の棚に置かれているだけだ。


「樫塚さん、メンズのシャンプー使ってるんだ」

「え?」

「ほら、だってこのシャンプーメンズだよ」

「……」


私の言葉に反応したかと思った安室さんは、そのシャンプーボトルを見ると考えるようにし、
そうしてすぐに真剣な表情のまま「次へ行きましょう」と私の手を引いた。






クローゼットの中はハンガーラックのほうを見るよう言われ、
アウターやパーカー、シャツなどが並んだそこを一着ずつスライドしていく。
特に目立つことはなく、引き出しを調べている安室さんへと向き直った。


「……もう終わったの?」

「ええ、つい先程」

振り返れば、引き出しを調べているはずの安室さんはすでに私の少し後ろに立っていた。


「……安室さんひとりで調べたほうが早そうだよ」

「そんなことはありません。
 貴女の協力あってこそですよ」


言いながら次へ調べるのは下駄箱の中で、私は下の段、安室さんは上の段だ。
中にはスニーカーやサンダルが並び、隅のほうには消臭剤がいくつか揃っていた。


「これ男物だ……下の段がお兄さんなのかな」


妹に下の段を譲ればいいのに。
そんなことを思いながら眺めると、並ぶ靴どれもが結構汚れていることがわかった。
あまり気を遣う男の人じゃなかったようだ。


「安室さんは、靴綺麗だね」

「はい?」

「毛利名探偵も。蘭さんが気を付けてるのかな」

「ああ……」


玄関に揃えられた4人分の靴を見ると、多少の汚れはあるものの、
それぞれは綺麗で、とくに毛利名探偵の革靴は丁寧に磨かれていた。


「蘭さんは丁寧な人ですからね。
 さ、次はリビングへ」

「またリビング?」


さっき通ったのに。
そう言えば彼は、今度はいるだけでいいと私に言った。

いるだけでなんの意味があるのだろうか。
首を傾げた私に、安室さんはフッと笑みを向けただけだった。

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設定タグ:名探偵コナン , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:アニメ
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作者名: | 作成日時:2018年4月10日 0時

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