宝*35 ページ35
蘭さんは携帯を操作し、その博士に連絡を取る。
そうしてコナン君が誘拐されたこと、居場所を割り出してほしいということを伝えているとき、
彼女の携帯にはキャッチホンが入り、コナン君かもと出てみたが、相手はどうやらセラさんだそう。
「と、とにかくコナン君が大変なの!」
「…………」
「安室さん……どうしたの?」
神妙な顔つきで蘭さんを見つめる安室さんに首を傾げるけれど、
彼は私の声にパッと笑みを浮かべると「なんでもありません」と言うだけだった。
蘭さんに想いを寄せている、という顔でもなかったし、
もしもそうだとしたら目の前で他の女の子を抱きしめたりはしないだろう。
「…………」
「そうだ。少し手伝ってくれますか?」
「え?」
安室さんには、聞きたいことが山のようにたくさんある。
けれどそのどれにも彼はきっと答えてくれないだろう。
知らないままでも構わないけれど、彼のことを知りたいような、
だけど知ったら、今の心地の良い関係のままでいられないような、
そんな複雑な気持ちでいる私を彼は分かっているのかいないのか。
「この部屋を調べてみようと思って」
「……うん」
彼からのお願い。
そのことだけに嬉しさを集中させて、抱く気持ちに蓋をした。
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作者名:謙 | 作成日時:2018年4月10日 0時