宝*21 ページ21
安室さんと共にレストランコロンボへと入ると、
「安室さん!」と席からコナン君が手を振った。
「随分遅かったな」
「車を取りに行っていたもので」
六人用のテーブル席のソファ席に蘭さんとコナン君。
椅子席に毛利名探偵が座っていて、安室さんは私にソファ席を進めてきたけれど、
私はそれを断り、椅子席に座った安室さんの隣へ腰を降ろした。
「随分懐かれてるんだな」
「え?」
「その子だよ。
恋人同士って雰囲気でもないから気になってたんだが……」
どういう関係なんだと目で聞いてくる毛利名探偵。
私はコナン君が渡してくれたメニューを見ながら「恩人です」と答えた。
「安室さん、事故に遭った私を助けてくれたんです」
「……ほら、ありましたよね。
交差点で起こった爆発の原因となった衝突事故が」
「ああ、あれか。
助かったのは被害者夫婦の娘だけだっていう……おいおい、まさか」
「その娘が、私です」
「僕もたまたま近くにいて、それで」
天涯孤独になった私を、安室さんはずっと傍にいて、救ってくれた。
けれど実は祖父がいたなんて。それもあんなに酷い人。
……私には安室さんがいれば、それでいい。
「安室さん、私このオススメのやつ食べたい」
「飲み物はどうしますか?
リンゴジュースもありますけど」
「そこまでお金入ってないと思う……」
あの日、テーマパークで使い切ってそのままの私のお財布には、そんなにお金は入っていない。
このオススメと書かれたミートソーススパゲティを買うのでやっとのはずだ。
「気にせずにお好きなものをどうぞ。
お金は僕が払いますから」
「それに今、ここに君の財布はないですよ」と、
どうやら私の荷物は全て、毛利探偵事務所に置かせてもらっているバッグの中のようだ。
「じゃあ……リンゴジュース」
「了解しました」
にこっと笑って、店員に私のお昼と飲み物、そして自分のコーヒーを注文する安室さん。
注文を終えたとき、「兄妹みたいだな」と毛利名探偵が笑った。
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作者名:謙 | 作成日時:2018年4月10日 0時