宝*20 ページ20
「じゃあ毛利先生、先に行っててください。
ポアロに着替えがあるので、着替えてから向かいます」
毛利探偵事務所の階段を降り切ると、安室さんはそう言った。
先程までの雨が嘘のように、今度は太陽がサンサンとしている。
「彼女も僕と一緒に」
言いながら、安室さんは私の腕を引く。
同時にぐぅと鳴った私のお腹の音を聞き、笑いながらコナン君が言った。
「でもAお姉さんお腹空いてるみたいだし、先に僕たちと行ったほうがいいんじゃない?」
「いや、僕の連れだからね」
安室さんはそうコナン君に言った後、「もう少し待ってくれますか」と私に聞いた。
もちろん私も安室さんと一緒に後から行くつもりだったから、構わないのだけれど。
「うん、安室さんと行く」
「良かった。すぐ着替えを終わらせますから」
私の肩を抱いた安室さんは、毛利名探偵たちに軽く頭を下げた後、
喫茶ポアロの入口へと向かった。
カラン、とドアベルを鳴らして中へと入ると、女性店員が声を掛けてくる。
「どうしたんですか、安室さん。
今日はたしかお休みでしたよね?」
「ええ。実は___」
安室さんが事の経緯を説明している間、私はぼうっと喫茶店内を眺めていた。
茶色ベースのレトロな、落ち着いた店内だった。
着替えてくるからと言った安室さんは、私をカウンター席へと促すと、
リンゴジュースを出すように女性店員に伝えて、奥へと向かった。
1180人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:謙 | 作成日時:2018年4月10日 0時