宝*14 ページ14
「……おじいさん?」
「うん。私のおじいちゃん」
「その人が、退院したら一緒に住もうと?」
「言ってた。
住んでたマンションも買い取るって」
「すごいおじいさんですね。
どんな人なんですか?」
翌日。まろやかプリンを持って来てくれた安室さんに昨日の出来事を話すと、
良かったねと言った後、おじいさんの存在に興味を惹かれたようだった。
どんな人かと言われても、私も会ったのは昨日が初めてで、
それまでは存在すら知らなかったのだからわかる訳もなく、
「上杉謙三……決めたら貫き通す男だって」と答えると、安室さんは驚きに目を開いた。
「日本を背負う大企業の会長じゃないですか!!」
「…………はい?」
「上杉コーポレーション株式会社会長、上杉謙三。
歴史ある会社を継ぎ、世界進出を始めた方ですよ」
カチカチとスマホを操作して、一枚の記事をこちらに向ける安室さん。
そこには昨日見たままの謙三さんの姿と、"ついにイギリス進出!"の見出し。
「わ……あの人そんなにすごい人だったんだ」
確かに着物とか佇まいとか、すごく上品だったし、
あの厳格そうな感じはどちらかと言えば貫禄だったのか。
「……随分アッサリとしているんですね」
意外そうに言った彼は「求めていた肉親なのに」と続ける。
私はその言葉に、んんん……と唸ってから答えた。
「だって初めて会ったし……それに、私一緒に暮らすなら安室さんがいい」
そう言い、最後の一口、プリンを口に運んだ私に、
安室さんは少しだけ間を開けていった。
「だから、そう言うことを軽々しく言わない」
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作者名:謙 | 作成日時:2018年4月10日 0時