君がいないとダメみたい ページ10
「おい、大丈夫か！？」
グルッペン君の言葉をかみ砕いた瞬間、いつもの"あれ"が襲ってきて、思わず隣にいたコネシマ君にもたれかかる。治まれ、治まれと何度も唱えるけど、何度も何度も落ち着こうと酸素を吸うけど喉を通らない。ヒュッと情けない音が出るばかりで、そろそろ本当に肺がおかしくなりそうだ。
「A、俺と一緒に息するんや」
背中を撫でられ、空色の瞳を見上げながらゆっくりと呼吸をしていく。いつの間にか私の前に膝をついて様子を伺うコネシマ君に、懐かしさを覚えた。彼と初めてまともに話したときも、私は彼に介抱されたんだった。
「そうや。だいぶ楽になってきたやろ？」
酷く優しいコネシマ君の声に、胸が締め付けられる。零れる涙を拭われながら、何度も頷けば笑って頭を撫でられた。
「グルッペン、ハンカチ濡らしてレンジであっためてくれへんか、」
「わ、わかった」
「シャオロン、オスマンが置いてったブランケット持ってきてくれ」
「よ、よっしゃ任せろ」
コネシマ君の指示を頭の片隅に置く。あぁ、情けない。始めの頃は強がってられた。でも、今、本格的にあの怪異たちと対面して、心底恐怖を感じた。人体模型が私たちに手を伸ばした瞬間、死ぬかと思った。冗談抜きで。
・
「最近色んな事あったやろ。人体模型も、怖かったなぁ？」
『…っ、』
「あの視線も、よう一人で耐えとった」
一瞬体が浮いたと思えば、三人掛けのソファにそっと倒される。下半身にはブランケットがかけられ、冷房がついているのに温もりを感じた。温かいタオルで視界を遮られ、最後に頭を撫でられる。
・
・
「頑張ったな、A」
コネシマ君がこんなにも優しいとは思わなかった。彼の温もりを感じながら、そっと目を閉じた。
・
・
・
次に目を覚めたのは、母が運転する車の中だった。
「あ、起きた？」
『………うん』
「寝ぼけてる？ Aが放課後倒れたって連絡が来て迎えに行ったんだけど、覚えてない？」
『……うん』
「コネシマ君って子がね、わざわざAをおぶって車まで運んでくれてね。行儀の良い子だったわよ。仲良いの？」
『…同じクラスで、隣の席で、最近話すように、なった気が、する』
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@眠猫。(プロフ) - 弓矢さん» 最初はホラーと恋愛の混合が難しく、挫折しそうになりましたがそう言っていただけて本当に最後まで書き続けてよかったなと思います。しばらく更新の予定はないですが、どこかで番外編など書けたら楽しそうだなとは思います。その時はまた、読んでいただけると幸いです。 (2022年1月10日 20時) (
レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
弓矢(プロフ) - みんなかわいくて素敵で好きです。私の少ない語彙だと上手く言えませんが、空気感も好みで尚且つそれが直に伝わる様で読んでてとてもゾクゾクしました。最後の方もゾクゾクしつつも一周回ってワクワクしながら読み進めました。とても面白かったです。有難うございます。 (2022年1月8日 8時) (レス) @page50 id: 8d1caf834f (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - 李白さん» 初めまして。この度は数ある作品の中から私の作品を読んでいただき、ありがとうございます。完結して2か月ほど経ちましたが、まだこのような言葉を頂けることに感無量です。お時間ありましたら是非、また覗いてやってください。またどこかで会えますように。 (2022年1月2日 20時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
李白 - 初めまして。作品全て読みましたが解説を見て鳥肌が立ちました。最高です。この作品に出会えて良かったです (2022年1月1日 11時) (レス) id: 1cec622168 (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - このはさん» 返信遅くなりました。この度は私の作品を読んでいただきありがとうございます。練りに練ったお話だったのでそう言っていただけるととても嬉しいです。またどこかで会えましたら、よろしくお願いします！ (2021年11月16日 22時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：@眠猫。 | 作成日時：2021年8月28日 17時
