背中 ページ19
os「久しぶり、A。」
『…オスマン…さん。』
kn「ん？お前等知り合いやったんか。」
『国王…様。』
os「えっ、知り合いなんですか、二人。」
やだ、どうしよう帰りたい。
いつも通りだった、いつも通りゾムさんを送り出していつも通り市場に来た。ただそれだけ。
kn「―――って、聞いとるか？」
『えっ、はい。』
os「ふふっ、A、ぼーっとしていましたね？」
目の前で手をひらひらさせてくる。久しぶりのオスマンさんとの絡みで少し戸惑ってしまう。
『あっ、ごめんなさい。』
うまく、話せない。違う意味で意識をしてしまう。
kn「俺服屋よってええか？」
『いや、私帰りたんですけど…。』
kn「いや、俺らの町探検についてってくれるんちゃうん？」
王様の目が本気だった。無理やり王様に引っ張られ、仕方なく洋服店に入る。やだこの国嫌だ。
os「王様、Aが困ってます故」
kn「あぁん？Aがええ言うたんやからええんや。」
『言ってません。』
めんどくさい人達に絡まれてしまった。帰ると言っても引っ張って離してくれないし、オスマンさんも楽しんでいる。
kn「ほら、こっちやって！！」
眩しい笑顔を向けては坂道をかけていった王様。周りにいる子供と変わらない。
『はぁ、待ってくださ――』
服の裾を引っ張られた。振り向けばあの綺麗な顔立ちが目の前にあった。
『オスマンさん、』
os「久しぶり。」
影が、重なってしまった。
もう、何も言えない。距離を置こうと言われた。だから、もう会わないと思っていた。でも会ってしまった。偶然で、狭い町で会ってしまうのは仕方ないけれど、いじわるが過ぎる。
突然のことに固まってしまった。ただ、温もりを残して離れた唇、繋がれた手、肩に置かれた手、ファーストキス。全てを繋げる時にはもう一度重なろうとしていた。
kn「A？」
視界の端に現れた金髪。ゆっくりと離れたオスマンさん。
kn「…お前等、」
どんどん険しくなっていく彼の顔は、見ているこちらも不快にさせる。
os「失礼しました、王様の町探検に私情を挟んでしまいましたね。」
馬鹿にするようなその口調に、私と王様の眉がピクリと上がった。
『あの、』
kn「こっちや。」
視界がぐらっと揺れて、ただ手を繋がれ引っ張られる。
『お、王様？』
私より遥かに高い身長で太陽が隠れてしまった。目の前だけを見る彼に後ろからも私の名前を呼ぶ声が。驚いたけれど王様が来たとき、助かったと思ってしまった。
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ゆい - この、物語をつくっていただき、ありがとうございます。この一言に尽きます。 (2020年7月27日 22時) (
レス) id: 63830571c3 (このIDを非表示/違反報告)
や〜神(プロフ) - まじで泣いた。素敵な作品ありがとうごさいました。 (2019年5月13日 12時) (レス) id: 73f7a8851f (このIDを非表示/違反報告)
眠猫(プロフ) - ミントさん» ありがとうございます！！感想を頂いて、久しぶりにこちらも見返して、時が経つのは早いなと実感しました…。連載中の物もありますのでよろしければそちらもどうぞ！！ (2018年12月23日 19時) (レス) id: 6df2bbbd20 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - 作者さん何でこんなに泣かしてくれるんですか本当に感動しました。ありがとうございます (2018年12月23日 13時) (レス) id: 41f91518d5 (このIDを非表示/違反報告)
猫うどん(プロフ) - 眠猫さん» ありがとうございます！！もちろんです！ (2018年9月7日 22時) (レス) id: b69debf442 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：@眠猫。 | 作成日時：2018年4月30日 16時
