不思議の国のアリス ページ43
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"ありがとう" とアリスは言って、不思議の国から消えた。
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音など一つもなかった。涙を流しながら、それを拭う余裕も与えず、彼女は笑って俺たちから"また"、姿を消した。
怒鳴ったり、笑ったり、泣いたり。アリスは忙しい人だと思う。でもアリスが表情を変えるのは何時だって、俺らのためだった。
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そういうところが、愛おしい。
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「トントン、トントン、」
「――――んっ、」
ぼやけた視界は鮮やかに、景色を汲み取ろうとしていた。
「ん、あれ、」
「久々に集まったからって、油断しとんのか？」
「べろべろに酔っとるシャオロンには言われたくないやろ」
「とんち台所貸して〜」
「もうなくなったんやけど」
騒がしいこの景色に、まばたきを数回落とす。俺の言葉を待っているのか、全員が俺の顔色を伺っては不思議そうに首を傾げた。
「トントン？」
「まだ寝ぼけとる？」
確かに、確かにまだ頭は覚醒していない。だけど、心が体に追いついていないのだ。なぜ、どうして、
「トントンさん」
静かな声がする。ここは不思議の国じゃない。肩に置かれた手の主を辿れば、紫色の、
「チェシャ猫、」
漏れ出た言葉は周りの騒ぎに溶けた。それでも、アリスが懐いてた彼は静かに口角を上げ、
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「―――秘密ですよ？」
不思議の国と同じ笑顔を、落とすのだ。
「…アリスは、」
「Aが言ってました」
なぁ、アリス、
「"また、いつか"って」
出会ってくれてありがとう。俺らもまた、いつか。どこかで。
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@眠猫。(プロフ) - 戯於さん» 私には勿体ないお言葉ばかりで…。ありがとうございます！ 目まぐるしく変わっていく展開ですが、隅々まで読んでいただき光栄です。少しでも長く、貴方の中にこの作品が残りますように！ (2022年8月7日 18時) (
レス) @page48 id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
戯於 - わぁあ…文に才能がありすぎます、ガチめに泣きました…。世界線の変え方とかhappy endじゃなかったときの絶望感とかの書き方が…もう…めっちゃ凄いです。ラストが凄い好きでした。多分一番好き。もう…最高の物語をありがとうございます…！ (2022年8月7日 10時) (レス) @page47 id: 197ff74d89 (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - チーズ.さん» ありがとうございます！私には勿体ない言葉です…。展開を意識しすぎて文章はお粗末になってしまったかもしれませんが、大変嬉しいです。ありがとうございます！！ (2021年8月17日 22時) (レス) id: f602ea559e (このIDを非表示/違反報告)
チーズ.(プロフ) - 普通にこういう方達やなくても色んなジャンルの小説書いて欲しいレベルで凄いですね！！まさかこうなるのかと圧倒されました！いやぁ、凄ぇ…… (2021年8月16日 7時) (レス) id: 994e308db6 (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - パソコンの精さん» ありがとうございます！いいえ！とっても伝わりましたっ！！原作の方もとってもかけがえのない、大切な物語です。私の心の中にもいつもあります。それをパソコンの精さんにも知っていただきとても嬉しいです！新作の方もよろしくお願いします！！ (2021年8月12日 22時) (レス) id: f602ea559e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：@眠猫。 | 作成日時：2021年5月3日 18時
